過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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61: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:38:48.90 ID:Joyq1BtQ0

 今回の目的だったマンガ本を手に入れた京太郎は物流センターの中をぶらついていた。さっさと駐車場にもどってもよかったのだがあまりにも早くことが済んでしまったので暇なのだ。

そもそも車に戻ったところで鍵がかかっている可能性が非常に高いのだ。待ちぼうけなどということになっても面白みがない。ということで初回限定版の漫画が入ったビニール袋を片手に京太郎は歩き回るのだった。

以下略



62: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:42:30.45 ID:Joyq1BtQ0

 京太郎の提案でディーは意を決して箱の中身を確かめ始めた。肩に担いでいた木箱を下ろして、箱の封を解いた。釘で打ちつけられていたところもあったのだが、ディーの腕力の前には何の問題もなかった。

ディー自身も京太郎に提案されるまでもなく、確かめようという気持ちがあったのだ。京太郎の後押しがあったので、するすると実行に移せたのである。

以下略



63: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:46:10.54 ID:Joyq1BtQ0
 ディーがハギヨシに電話を始めたので京太郎は氷詰めにされている女性を見ていた。

京太郎が女性を見つめているのは、暴走気味に高まっている感覚が妙にざわついていたからである。

どこからどう見ても女性は死んでいるようにしか見えないのだけれども、微妙に揺れているように感じられた。
以下略



64: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:50:16.34 ID:Joyq1BtQ0
 京太郎が声をかけると褐色肌の女性がつぶやいた。

「ヤタガラス? 私、生きているの?」

 目の焦点が合っていなかった。しかし、間違いなく生きていた。ただ、目の前の状況を信じきれていないようだった。
以下略



65: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:53:14.88 ID:Joyq1BtQ0
 しかし、完全に何も考えていないわけではない。彼女がすんなりと話をした理由は三つある。一つは、京太郎の服装。

 もしも龍門渕のヤタガラスとわかる服装をしている京太郎がいなければ、このように正直に話すことはなかっただろう。

 二つ目は、ディーの口からハギヨシの名前が出ていたこと。彼女が知っている評判と、評判を生むにいたった六年前の騒動のおかげである。
以下略



66: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 05:56:59.55 ID:Joyq1BtQ0
 ディーの提案に京太郎がうなずいた。まったく反対する気持ちなどなかった。

虎城が少し回復したことは見抜いていたがまだまともに動き回れるほど回復していないのが京太郎にはわかっていた。

これは京太郎の感覚的なものでしかない。なんとなく体の中にあるエネルギーが薄まっているように感じられるのだ。
以下略



67: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:00:39.99 ID:Joyq1BtQ0

 仲魔を使えばいいという虎城に、京太郎が不思議そうに聞き返した。

「仲魔ですか? 俺の仲魔なら龍門渕で農作業してますよ。

以下略



68: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:04:27.08 ID:Joyq1BtQ0
 京太郎の挨拶を受けてベンケイがこういった。

「ベンケイだ。ディーと同じで、あだ名みたいなものかな。仕事中はこのあだ名で名乗ることにしている。

 申し訳ないな、名乗ってもらったのに」
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69: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:07:32.84 ID:Joyq1BtQ0
ベンケイが初老の男の名前を呼ぶと京太郎の動きが止まった。今までの穏やかな京太郎の姿はどこにもない。完全に警戒していた。

京太郎の目に力が宿り全身の筋肉が、今すぐにでも戦えるように準備を始めている。

 体内で魔力が高まっていく中で、京太郎は別の景色を見ていた。京太郎は自分の周囲にあるものを全て手に取るように把握できていた。
以下略



70: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:15:33.22 ID:Joyq1BtQ0

 ベンケイと松常久がもめていると運転席に座っていたディーが降りてきて、こういった。

「松 常久さん、残念ですが構成員の引渡しには応じかねます。

以下略



71: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/07(火) 06:20:35.35 ID:Joyq1BtQ0
 京太郎とディーが周りを巻き込まないように逃げの一手を撃つべく動き始めると、ベンケイが話しかけてきた。

「なぁ、須賀くん。もしも君がヤタガラスに入るつもりだったりするのなら、やめておいたほうがいいと俺は思う

 この世界は、こんなやつらばかりだからな。人の皮をかぶった悪魔ばかりだ。真面目に勉強しているほうがずっといい。
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