過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
1- 20
64: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:19:33.98 ID:NGKYIe+ko

「スニェーク……」

 色の奪われた外界はよく見れば、空からゆっくりと小さな雪粒を断続的に降らせている。
 あまりにもささやかな白色はアーニャでさえも窓に近づいて目を凝らさなければ見えなかった。
以下略



65: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:20:20.23 ID:NGKYIe+ko

 前に夢見装置を晶葉が完成させたときに、自慢げに語っていた理屈であった。
 当然アーニャにはさっぱり理解できなかったが、晶葉が楽しそうであったことは印象に残っていた。
 だが今目の前にいる晶葉には表情がなく、だからこそ違和感だらけの存在であった。

以下略



66: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:21:00.04 ID:NGKYIe+ko

 そして視点を元に戻せば、そこには晶葉は居らず、代わりに尾を呑む白蛇が一匹アーニャを睨み付けていた。

「キミはいったい何を夢見る?アーニャ」

以下略



67: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:21:37.74 ID:NGKYIe+ko




 扉を開けば、純白。
以下略



68: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:22:13.49 ID:NGKYIe+ko

 雪を踏みしめる音は、壊れたラジオのノイズのように単調に、一定のリズムで鼓膜に刻まれる。
 視界に映る粉雪も、まるでリピート再生するように単調で冷たさなんて感じない。
 それでもアーニャは何の疑問も思わずに歩き続ける。

以下略



69: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:23:00.45 ID:NGKYIe+ko

 その途端に雪は激しさを増す。
 暴風にも近いその降雪に思わずアーニャは腕を視界の盾にして目を細めた。
 その姿は隊長であるはずなのに、この雪のせいで表情までははっきりとつかめない。

以下略



70: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:23:44.34 ID:NGKYIe+ko

 その言葉と同時に、雪混じりの風は何か小さなものをアーニャの足元に運んできた。
 それは小さな写真立て。中には都会の街並みの中でよく目立つありふれた様式の教会。

「これは……近所の教会?」
以下略



71: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:24:25.93 ID:NGKYIe+ko

 そう言って隊長は再びアーニャに背を向ける。
 身動きさえ取ることが困難な豪雪にもかかわらず、隊長はそれをまるで意に介さないかのようだ。

「言ってしまえば夢なんてものは記憶の断片を再生しているようなものだ。
以下略



72: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:25:16.21 ID:NGKYIe+ko




 扉の先はアーニャのよく知る場所であった。
以下略



73: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:25:48.29 ID:NGKYIe+ko

「こんな夢も……見たような気がします」

 アーニャは3人の様子を客観的に見ながら、その様子がなんだかおかしくてクスリと笑ってしまう。
 こんなやり取りを実際にしたことはないのに、まるで何度も交わした言葉のような親しみさえ感じた。
以下略



74: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:26:40.95 ID:NGKYIe+ko

 肉を引き裂く鋭い音と同時に響くビチャビチャという粘性を少し持った水の音。
 同時に眼前に流血が迸る。
 頸動脈を一瞬のうちに掻き切られたみくとのあは、赤い噴水をスプリンクラーのように周囲に塗り付けながらその場に崩れ落ちた。

以下略



833Res/856.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice