524: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 16:51:29.14 ID:zMZDMcHDO
良くすかれた赤い髪に、ほっそりとした肩。学園指定のブレザーや、長い足に清楚さを与える白いニーソックスにはしわの一つもなく、同年代の女子生徒と比べて起伏のある肢体を包んでいた。
カレンはどこか節目がちに辺りを見回し、微かに困ったような顔を覗かせた。朝から大勢の生徒に囲まれては仕方のない事だろうと、ライは思った。
525: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 16:52:31.95 ID:zMZDMcHDO
「あっちを助けなくていいのか」
ルルーシュの言うあっちとはカレンの事だろう。人だかりは減るどころか増え続け、野次馬も集まり始めて大騒ぎになっていた。祭り好きという、アッシュフォード学園の生徒の性質が災いしてしまったようだ。
526: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 16:53:57.12 ID:zMZDMcHDO
カレンがこちらを見据えてくる。助けを求めるような目だ。彼女の様子に感づいた付近の生徒がその視線を追い、やがては集団全体がライとルルーシュを見る。
三〇〇人近い人間から凝視され、ルルーシュが思わず怯む。凄まじい濃度の敵意や嫉妬が嵐のように渦を巻いて、二人に向かって叩き付けられていた。
527: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 16:57:33.18 ID:zMZDMcHDO
校舎に入った二人は廊下を歩いていた。すれ違う男子生徒からは睨まれ、女子生徒からはひそひそ囁かれながら奇妙な視線を向けられる。
男子の方はともかく、女子の方は今までにないものだった。顔を向けると、一つの女子グループと目が合った。
528: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 16:58:33.18 ID:zMZDMcHDO
「おはよう、シャーリー」
「……おはよう」
529: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:00:08.20 ID:zMZDMcHDO
「え……」
「怪我は無かったかって訊いてるの」
530: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:01:37.24 ID:zMZDMcHDO
「そういえば、リヴァルが探してたよ。すごい走り回って」
「リヴァルが?」
531: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:02:48.49 ID:zMZDMcHDO
「用事……。見合いか」
ライは呟いた。アッシュフォード家は財政難が続いており、没落が危ぶまれているような状態だった。そのため、一人娘のミレイには多大な責任と期待がかけられているのである。
532: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:04:07.50 ID:zMZDMcHDO
「…………」
他のメンバーも一様に暗い表情を浮かべていた。いつも明るく、誰かを陥れたり振り回したりする事に余念のないミレイだが、同時に大勢の人間を照らしているのも事実だ。この学園が活気に満ちているのは、生徒会長が輝いているからだろう。
533: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/02(水) 17:05:29.92 ID:zMZDMcHDO
「昨日の件をミレイさんに報告するべきだろうと考えていたんだ。もう噂になっているみたいだが……」
「なるほどね。それでルルと一緒に来たんだ。珍しいね。眠たがりのルルがこんなに早く登校するなんて」
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