過去ログ - 咲「これが私の麻雀だよ」
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13:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:47:04.60 ID:V8gzDOoiO

 対局が始まってしまえば、和やかな雰囲気はどこぞへ吹き飛んでしまう。
 それだけ二人の間には半荘という勝負に対する真剣さが現れていた。

 ふたりと共に卓を囲むのは面識のない年配の男性二名。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:47:59.00 ID:V8gzDOoiO

 いくら理論的な打ち筋が確立されていようと、麻雀は運の要素も強い。
 配牌などは積み込みやすり替えなどの所謂イカサマを用いない限り、理論上では完全な運である。
 流れや勢いなど、その場限りの要素で多少の良し悪しがあったとしても、基本的には対局者全員が対等なはずなのである。

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:50:00.78 ID:V8gzDOoiO

衣(できれば咲から取りたかったが。…ここで咲にツモ巡を回せば、同じ轍を踏むだけ。その先に待つのは敗衄の辛酸だ)

 強者の布く圧政。抜け出すことの叶わない一方的なルール。それは『支配』と呼ばれるもの。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:51:04.06 ID:V8gzDOoiO
 
 衣の親でなくば支配が及ばないわけではない。実際、男性たちの手はやはり渋かった。

咲「カン」

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:51:50.92 ID:V8gzDOoiO



咲「ダブルリーチ」

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:52:30.96 ID:V8gzDOoiO

 投じられる千点棒。卓上に落とされる、最初の捨て牌。

 しばたたかれる三対の眼。

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:53:30.86 ID:V8gzDOoiO

咲「ありがとうございました。…天江さん、私の勝ちだね。場代、よろしく」

 微笑む咲の真正面で、ゆっくりと、涙を湛える衣。ガン泣き一歩手前といった様子だ。

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:54:32.42 ID:V8gzDOoiO

 衣はひとり、卓に取り残され、半眼で辺りを見渡していた。

 視界の隅で付き人の執事が如才なく会計を済ませていた。そこから横に滑っていくと、ひとりの女性が茫然と立ち尽くしている。 
 先程まで咲と衣が対局していた卓に視線を釘づけにされている。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:56:27.20 ID:V8gzDOoiO

 健夜は、身勝手な残影を目の前の少女に投影していた。
 手折る。千切る。打ち砕く。踏み躙る。
 圧倒的で、他を寄せ付けない、ゆえに退廃的で孤独な麻雀。
 それは、まるで鏡写しに見る自分のようだった。
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:57:33.47 ID:V8gzDOoiO

 意識がゆっくりと覚醒していくのを感じる。

 たぶん、もう日も高くなり始めている。そんな予感を抱きながらも、身体を起こす気にはなれなかった。なんなら瞼を開く気力さえ湧かない。
 憂鬱すぎた目覚めの原因は、過去や夢にはない。珍しく、現在進行形で咲の頭を悩ませている問題のせいだった。
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:59:12.44 ID:V8gzDOoiO

咲「…はい。どなたでしょうか」

 軽い身支度を手早く済ませた咲は重い足取りで玄関へ向かった。
 あわよくば、来客が単なる配達員か、それか勧誘かなにかで、身支度の間に諦めて帰っていてくれたら。
以下略



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