過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える 続きと終わり
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:31:08.20 ID:kAKMmD4ho
「雪ノ下、あのな……。よかったら、俺と…………」
ああ、そうか。ここまで言われて、やっとわかった。
この言葉の続きを私は知っている。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:32:14.86 ID:kAKMmD4ho
あとは断ち切って、痛みを飲み込んでしまえばいい。守るために、失わないために必要な代償なのだから、受け入れるしかない。
そう自分に言い聞かせ、逡巡する彼に言葉をかぶせ、遮る。
「待って。その先は、私から言わせて」
以下略
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:33:20.92 ID:kAKMmD4ho
「……わかったわ」
思えば、一度目は純粋な拒絶だった。彼の人となりを知らなかったし、向上心のまったくないただのろくでなしとしか思えなかったから。
二度目は、彼とそんなもので関係に線を引きたくなかった。まだもう少し続けたかった。ようやく彼と知り合うことができ、特別な何かを感じ取っていたから。
以下略
13
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:34:12.85 ID:kAKMmD4ho
皮肉なものだ。今まで散々すれ違いを続けてきた彼と私の言葉が、こんなことで重なり合うなんて。
彼は紛うことなき本音を、私は欺瞞に覆い隠された建前を。これで重なり合うのなら、私と彼はそうなるべくしてそうなっていたのだろう。
まるで出来の悪い、笑えない喜劇だ。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:35:08.68 ID:kAKMmD4ho
え?比企谷君はなんて言ったの?
「いや、お前な……。会話の流れおかしいだろ。なんでそこで友達って言葉が出てくんだよ」
「わ、私はてっきり、以前あなたから言われたことをまた言われるのかと……」
以下略
15
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:36:05.43 ID:kAKMmD4ho
「いやだから、俺と付き合ってくれって……わざとか?聞こえない振りしてんのか?難聴系か?」
付き合ってくれ。付き合う。
……念のため、確認しておこう。
以下略
16
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:40:53.02 ID:kAKMmD4ho
私と彼はいつまですれ違い続けるのか。
───まるで、喜劇だ。
「……ごめんなさい。少しだけ、落ち着かせてもらえないかしら……。もう何がなんだか……」
以下略
17
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:41:54.96 ID:kAKMmD4ho
部室や生徒会室で彼と二人きりになることはこれまで何度もあった。
そんなとき、一人でいることがさほど気にならない私と、同じく元来からそうであろう彼は互いに干渉しなかった。そう取り決めをしたわけではないが、それが暗黙のルールのようなものになっていた。
でも今はとても同じようにはできない。ここに他の人が来ることはないし、本に目を通すわけにもいかない。
以下略
18
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:43:21.05 ID:kAKMmD4ho
キッチンに向かい、ティーセットとカップを用意する。この家に湯呑みはなかった。お湯が沸くまでの僅かな時間にも考えを纏めようとしたが、そうしようとするだけ無駄だった。
でも紅茶を淹れて慣れた香りが立つと、少しだけ落ち着けたような気がした。
二つのティーカップを持ってリビングに戻ると、彼は窓の外へ目を向けていた。
以下略
19
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:44:41.29 ID:kAKMmD4ho
「もう落ち着いたか?」
「ええ、さっきよりは」
彼も自分を落ち着かせるように、ふーっと長い息を吐いた。私も息を呑み、耳を傾ける。
以下略
20
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2015/10/17(土) 17:45:32.09 ID:kAKMmD4ho
しかし、私は自分が傷つくのが嫌で、周りを寄せ付けないようにしていただけだ。あんな後悔を二度としたくなくて、姉さんの強さを真似しようとしただけだ。
そう思っているからこその発言なのに、彼はそれを否定する。
「お前らしさは、お前のものは最初からちゃんとあるだろ」
以下略
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