過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える 続きと終わり
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:19:34.60 ID:kAKMmD4ho


これから比企谷君が忘れたスマホを取りに来るらしい。

皆が帰宅の途に就いたことで気が緩み、楽な部屋着に着替えたところだったので慌てて同じ服に着替え直すことになった。
以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:21:29.34 ID:kAKMmD4ho
彼の連絡先を知っていて、傍にいるはずの由比ヶ浜さんが電話をかけるのは自然な流れだ。このポップで親近感のある登録名も彼女自身がしたものであろうこともわかる。

私には、彼が未だにこの登録名を残し変更していないことに、特別な意味があるように思えた。

それに対し私は、彼の直接の連絡先すら未だに知らない。
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:22:42.72 ID:kAKMmD4ho
急にエントランスからの呼び出し音が鳴り響き、飛び上がりそうな勢いで背筋が伸びる。

来ることはわかっていたのに、何をそんなに驚いてるんだか……。

インターホンの通話ボタンを押すと、私が話すより先に彼のおどおどした声がスピーカーから聞こえてきた。
以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:23:45.19 ID:kAKMmD4ho
鍵マークの開錠ボタンを押すと、やがてカメラの範囲から外れて液晶モニタから姿を消した。何故彼はあんなに挙動不審なのかしら……。

しばらく待つと今度はドア前からの呼び出しベルが聞こえ、彼のスマホを手に玄関に向かう。

開錠して半分だけ扉を開くと、気まずそうな顔をした比企谷君が立っていた。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:25:17.58 ID:kAKMmD4ho
「それじゃあ、またね」

俯いて短い別れを告げ、閉まらないように押さえていた、彼と私を分かつぶ厚いドアから手を離す。

ドアクローザによりゆっくりと扉が閉まり始める。姿が見えなくなるその瞬間、彼の手が閉まろうとする扉の動きを遮った。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:26:38.20 ID:kAKMmD4ho
彼に何か、犯罪まがいのことをされるとは微塵も思わない。だが、くだらない被害妄想とも言い切れない、考えるだけで吐き気を催すような拒絶の言葉が、想像が頭をよぎる。

彼を玄関に招き入れて、またすぐに鍵を掛けた。そうする癖がついているからで、別に他意はない。

「あー、なんか悪いな」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:28:17.97 ID:kAKMmD4ho
「……あいつらには先帰ってくれって言っといた」

他の人が近くにいないということを聞かされると、急に胸が早鐘のように躍り始めた。彼の行動の意図が、目的が読めない。

「そ、そう。いいの?」
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:30:10.75 ID:kAKMmD4ho
さほど大事でもないのにそらで言える電話番号を伝えると、彼はスマホを操作して私にワンコールしてくれた。

彼はどういう名称で私の番号を登録をしたのか、少しだけ気になった。

「……そんな、生徒会の連絡とかで聞いたんじゃねぇんだけどな」
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:31:08.20 ID:kAKMmD4ho
「雪ノ下、あのな……。よかったら、俺と…………」

ああ、そうか。ここまで言われて、やっとわかった。

この言葉の続きを私は知っている。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:32:14.86 ID:kAKMmD4ho
あとは断ち切って、痛みを飲み込んでしまえばいい。守るために、失わないために必要な代償なのだから、受け入れるしかない。

そう自分に言い聞かせ、逡巡する彼に言葉をかぶせ、遮る。

「待って。その先は、私から言わせて」
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 17:33:20.92 ID:kAKMmD4ho
「……わかったわ」

思えば、一度目は純粋な拒絶だった。彼の人となりを知らなかったし、向上心のまったくないただのろくでなしとしか思えなかったから。

二度目は、彼とそんなもので関係に線を引きたくなかった。まだもう少し続けたかった。ようやく彼と知り合うことができ、特別な何かを感じ取っていたから。
以下略



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