過去ログ - 終結の彼方
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13:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:18:35.55 ID:c9hFcx2r0
そんな争いだけの世界に平和を望み歌い続けたアイドル白坂 小梅とそのプロデューサーである自分の二人だけを残して人類は全滅する。 小梅も自分も平和を望み世界に歌を届けたけどその歌声は届かなかった。

日本の科学者が秘密に開発していた特殊なシェルター、人がたった二人だけ入れる程の小さなシェルター、この中で過ごせば生き残れるらしいけど結局はその時にならないと分からない。科学者から平和を望み続けた小梅と自分に生き残れたら次の世界を見届けて欲しいと頼まれてシェルターに入る事にした。

「小梅は意味があったと思うか、この人類に」
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:19:39.48 ID:c9hFcx2r0
白坂 小梅、彼女と一番最初に出会ったのはアイドルオーディションの開場だった。おとなしく人と話をするのが苦手、話を聞いてもアイドルになる気はないと言っていた小梅だが、いざ好きなものの話をさせてみると、パッと笑顔でホラー映画の話をしてくれた。

その時の自分は彼女の笑顔を見てトップアイドルとして花開く姿ばかりが頭の中を膨らませていた。小梅を合格させてレッスンの日々、苦手分野が多い彼女で最初は上手くいかずにマイナスな発言ばかりもしていた。唯一歌ならとボーカルレッスンをさせてみるとその透き通る歌声がまたその時の自分の心に響かせてくれたっけ。

一歩ずつ一歩ずつ、小さな仕事を受けては反省と成長。日に日に彼女の歌声は日本を包み、大きな存在になっていった。いつの間にか大人気アイドル、自分の頭の中で想像していた小梅の姿が目の前にはいてくれた。自分が何かしたと言うより小梅が成長して変わってくれた。


15:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:20:39.90 ID:c9hFcx2r0
「世界に向けて歌うようになって、本当に頑張ったよ小梅」

「へっ、平和には……ならなかった……です」

「小梅は悪くない。小梅は必死に頑張った」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:21:12.87 ID:c9hFcx2r0
「ぷっ、プロデューサーさん……!」

「この人達を見捨てる事しか出来ない。このシェルターの中にいる限り助ける事は……」

窓から見えた研究員も落ちてくる破片に押し潰されて視界からは消えてしまった。研究員の返り血が窓を真っ赤に染め上げていくと自分は耐えきれずに吐瀉。人が目の前で消えていく光景、自分が生き残るために他を犠牲にする罪悪感と自分が生き残る意味はあるのか、これからどうなるのかという不安と疑問で頭の中が割れてしまいそうだ。


17:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:21:43.53 ID:c9hFcx2r0
「こういう時は大人がしっかりしないといけないのに。ごめんね小梅」

「だっ、大丈夫……です」

小梅の不安そうな顔を見ると自分がこのまま不安に飲み込まれると小梅もただでさえ不安なのにこの不安を大きくしてしまう、そう思うと少しは落ち着く事が出来た。そして自分が大丈夫だと精一杯の笑顔を作ると怯えて体が震えている小梅の頭を撫でてあげた。
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:22:12.83 ID:c9hFcx2r0
「ぷっ、プロデューサー……顔色悪い」

「いや、大丈夫。少し疲れてるのかも。小梅は大丈夫?」

「大丈夫……です」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:23:01.77 ID:c9hFcx2r0
「……サー……」

「…………」

「プロ……サー……」
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:23:58.72 ID:c9hFcx2r0
「やっ、やっと……起きました……」

「寝てる場合じゃなかったよね。ごめん」

どうして眠ってしまったのかまるで覚えていない。覚えているのは小梅の歌声だけ。それから後の事は何も覚えていない。思い出そうとしても変な頭痛が邪魔をしてくるせいで諦める事にした。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:24:45.44 ID:c9hFcx2r0
「先に出てみる。小梅は待ってて」

「でも……」

「すぐに戻ってくるから」
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:25:14.65 ID:c9hFcx2r0
不安な要素は消えないし外に出たいとは思わない。それでも生き残った自分には次を見届けなければいけない。例えそれがどんな風になっていても受け入れて最後まで見届ける、争いばかりの次の世界、もしかしたら自分達が求めていた世界かもしれない。

唾を飲み込みもう一度小梅に視線を向けると、小梅はコクりと頷いてくれる。彼女も覚悟が出来たのだろう。シェルターの扉は壊れたのかそれとも意図的になのか分からないけど半分に割れてしまい壊れていた。

「じゃあ、行くよ」
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/10/21(水) 21:25:52.16 ID:c9hFcx2r0
狭いシェルターの壊れた扉、小梅と二人で恐る恐る近付いていく。割れた扉をどかしてその先の世界に足を踏み入れる。

「何もない……」

そこは薄暗く強い風と雪だけが降り積もっていて人類が作り出した建物や自動車、それだけじゃなく人類その物が自分と小梅だけでそれ以外は死体も残さずに跡形もなく消えていた。広がる景色は雪に埋もれた枯れた草原だけで生き物なんてまるでいない。
以下略



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