過去ログ - 沙紀「ひとかけらの微熱を乗せて」
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2: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:01:38.86 ID:8QRzfjZl0
「らしさ、ってなんすかねー」
彼女は目の前に置かれた小さなカップを手持ち無沙汰気味に持って、なにかを期待するような視線をこちらに飛ばしてきた。
3: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:03:20.21 ID:8QRzfjZl0
もうじきに外でゆっくり過ごすのも難しくなるからということと、たまには二人でゆっくりしないか、という彼女からの提案。
次の仕事までの空き時間に担当アイドルと向かい合わせで座り、秋の余暇を過ごしている。
隠れ家的、と言ったら少し大げさか。
4: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:05:20.87 ID:8QRzfjZl0
ショートカット。
パンツルック。
女性にしては少し高い身長。
見る人によっては彼女のことを男だと勘違いしてしまう人は少なくないだろう。
5: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:08:51.19 ID:8QRzfjZl0
一例をあげると、すっかり桜が散って木々の青さが目立ち始めたころまで遡る。
今話題のジェットコースターに乗ったときの話。
とにかく凄いんだと目をキラキラさせていた沙紀は、並ぶ時間がと俺がグズるのをわかっていたかのようで、いつの間に手に入れたのか、したり顔で優先パスを目の前に泳がせた。
6: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:09:59.34 ID:8QRzfjZl0
「実はアタシもドキドキしてるっす」
多分俺と沙紀のドキドキはまた違うものだと言う前に、ひときわ大きな音で発車のベルが鳴った。
ゴゥンという大げさな音とともにジェットコースターは動き始め、まるで処刑台にのぼる罪人のような気分だと心の中でつぶやいた。
7: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:10:43.45 ID:8QRzfjZl0
そう言う沙紀の手も緊張してなのか少しだけ震えていて、ほんのり汗をかいていた。
その柔らかでスベスベした感触はまさに女性的なもので、そのあたたかさはどこか安心を覚える。
手首を返して握り返すと、少し驚いたのかビクッと反応するも、次には彼女の方からも力を入れて手のひらを重ねてきた。
8: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:15:36.72 ID:8QRzfjZl0
たった数分前の出来事。
なのに地面へ足をついたときの感覚が久しぶりみたいで、とにかく変だった。
地に足はしっかり二本あるけど、片足で立っているフラミンゴの方が随分安定している気がしてならない。
9: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:18:06.78 ID:8QRzfjZl0
八十六。
はちじゅうろく。
10: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:19:20.30 ID:8QRzfjZl0
「……プロデューサー? 聞いてる?」
「あ、あぁ、ごめん……ちょっと考えことしてた。で、なんだっけ?」
11: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:20:51.20 ID:8QRzfjZl0
「なに考えてたっすか? もしかしてアタシのこと? なーんて……」
「そうだけど」
12: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:22:15.57 ID:8QRzfjZl0
「じゃあ意識して仕事以外の話を」
「……例えば?」
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