882:名無しNIPPER[sage]
2016/03/18(金) 14:44:31.28 ID:LHlz1g6uO
困惑しててもるーは天使だなぁ乙
883:名無しNIPPER[saga]
2016/03/18(金) 23:59:05.82 ID:nkDeAzhHo
◇
瞼が重くて開かなかった。意識は混濁と明鏡止水に綺麗に分かれていた。
表の方は濁ってわけがわからなかったけど、奥の方の意識はすっと静まり返っていた。水とは反対だ。
884:名無しNIPPER[saga]
2016/03/18(金) 23:59:49.14 ID:nkDeAzhHo
開き直ったみたいに、るーは続ける。
「好きですよ……好きですけど」
885:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:00:15.57 ID:7uTUbjIMo
「それは、まあ、顔も……」
どういう答えだ。
886:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:01:39.16 ID:7uTUbjIMo
「ちい姉は」、とるーは言う。
「ちい姉は、お兄さんのどこを好きになったんですか」
887:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:02:15.12 ID:7uTUbjIMo
みんなが黙って、続きを待った。
「いつも、置いていかれるのを怖がってた。ひとりになるのを嫌がってた。いろんなことが変わってくのが、怖かったんだと思う」
888:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:02:47.70 ID:7uTUbjIMo
「小学生の男の子がさ、みんなが放課後に缶蹴りとかして、誰かの家に集まってゲームとかして、
そういうときに、家に帰って洗濯物を取り込んで、夕飯の買い物をして、準備をして、妹の勉強を見て……」
それって、どんな気持ちなんだろう、って、ときどき思うんだ。
889:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:04:39.71 ID:7uTUbjIMo
「でも」、とすず姉が言う。
「それって、同情ってこと?」
890:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:05:06.92 ID:7uTUbjIMo
「誰かの輪の中にいると、自分が余計ものみたいに思えるから、ひとりでいる人にばかり声を掛けてたんだ、って」
声を掛けたのは、きっと、ちい姉が言うとおり寂しかったからで。
そういう自分の弱さを、たぶんどこかで遊馬兄は責めていた。
891:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:05:46.53 ID:7uTUbjIMo
「……言ってもいい?」
「……どうぞ」と静奈姉は少し緊張したような声。
892:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:07:29.91 ID:7uTUbjIMo
「でも、でもね、わたしにとって遊馬くんは、普通の男の子だったんだよ。
家族思いで、大人みたいに家のことに責任感を持ってて、面倒見がよくて、勉強ができて、
周囲から一目置かれてて、気取ってなくて、ちょっとばかみたいにはしゃいだりして、
そんな、かっこいい、あこがれの人だったんだよ」
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