過去ログ - 鶴見留美は日陰で過ごしたい
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:31:39.51 ID:MINR9RW5o
※注意点

・ルミルミものです
・モノローグ多いです
・想像と自己解釈で書いてる部分が多いので、他の人と解釈が違う部分もあるかと思います

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:32:40.29 ID:MINR9RW5o


───またか。それが見えた瞬間、おもわず溜め息が漏れた。

登校してから教室でまず最初にするのは、その必要に駆られ、自衛のためにせざるを得なくなった確認の儀式。
以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:33:16.04 ID:MINR9RW5o
だからあの高校生達とあの出来事を、私は今もずっと忘れられずにいる。特に、印象的だったあの人のことは。

クリスマスイベントのお手伝いに参加して偶然再開できたその高校生達はとても優しくて、小学生の私には立派な大人に見えた。

やっぱりあのとき私達に向けた悪意は紛い物だ。私を救おうとやってくれたことなんだ。聞いてはいないけどそう確信できた私は、漠然と抱いていた憧れをさらに強いものにすることになった。
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:34:21.90 ID:MINR9RW5o
差出人は見覚えのある名前で、さらに気分が重く沈んでいくのがわかった。

話したことはほとんどないはずだけど、確か学年でそれなりにモテる部類に入る割と目立つ男子だったはずだ。

はぁ。面倒なことにならなきゃいいけど。
以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:35:09.51 ID:MINR9RW5o
独りであることはさほど苦にならないのに、周りの女子は、大抵の教師は、私以外のほぼ全てはそれを善しとしない。

今の私は昔と違って嫌われてたり無視されてたりするわけでもないから、一人でいるとみんながその輪に加えようとしてくれる。

私なんかには有り難い話でそれも立派な優しさだと感じてはいるものの、正直ありがた迷惑でもある。
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:35:43.11 ID:MINR9RW5o
これには二つの理由があった。

まず、私はメールやLINEの類のものをあまり好まず、限られた人にしか番号やアドレスを伝えていない。教えた数少ない友人……知人?にも余程のことがない限り教えないでと言ってある。

それともう一つ、これは私の過去の行動が原因だ。中学生の頃私のメールアドレスをどこからか聞き出して、いきなりメールで告白してきた人がいた。それには返事すらしなかった。そして翌日、その人に教室で面と向かってこう告げた。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:36:26.91 ID:MINR9RW5o
「はぁ……」

また力のない溜め息が漏れた。慣れたこととはいえ、告白を断るのには私も気力を使う。他人の好意を無碍にしてしまうというのは忍びないものだ。

初夏の暖かく穏やかな木漏れ日を浴びながらの昼食を終えると、呼び出された場所に向かうことにした。
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:37:23.46 ID:MINR9RW5o
中学生になった時点で、あの頃のような無責任で無機質で無意味な悪意に晒されることは完全になくなった。

他の人がどうなのかは知らないが、少なくとも私は進学先が変わった時点で人間関係は途切れ、リセットされた。

私も進学してからはスクールカーストの中でそれなりに溶け込み、大過なく生活を送れるだけの社交性を身に付けた。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:00.86 ID:MINR9RW5o
そう思いながらも、私は自らの美しさを自覚してもいた。

可愛いと言われることは決して嫌ではないし、だからというわけではないが、肌や髪なんかにはそれなりに気を使っている。あとは体つきに関する地道な努力も、一応……。無駄な努力なんてないんだから。頑張れ留美。

けど、私は当然のように男子からの告白を断り続けてきた。そしてきっと、これからも暫くそれは続くと思う。
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:27.40 ID:MINR9RW5o
なるほど。背も高いし、丹精な顔立ちは優しさも兼ね備えていそうだ。これならモテるというのも頷ける。

でも残念、私は同年代の男子に興味はないの。静かに首だけを降り、そんなのはいいから続きをという意思を目で伝えた。

「……あの、その、えー……。悪い、柄にもなく緊張してて……」
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:53.95 ID:MINR9RW5o
「…………俺、お前のことが好きだ。よかったら俺と付き合ってくれ」

意を決したらしい彼から、予想していた通りの言葉が耳に届く。ほとんど面識のない同級生に何故お前呼ばわりされるのかはわからないが、驚きは特にない。これまで何度も繰り返してきたことだ。

だから、私も同じことを繰り返すだけ。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:39:23.29 ID:MINR9RW5o
いつもそう。よく知りもしない私のことを大したきっかけもなく好きになって、ぶつけてきて、断られて、簡単に諦めてしまう。私には理解できない。

そんなの、本物の気持ちなわけない。本物の気持ちはそんなことで生まれたりしないし、そんなに簡単に捨てられるものじゃない。

私はそう思う。
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:03.61 ID:MINR9RW5o
「なら友達から……」

「ごめんなさい」

間、髪を入れずまた頭を下げる。
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:29.89 ID:MINR9RW5o
「……そっか。最後、もう一つだけ教えてくれるか?」 

「……うん」

聞かれて困るようなことはさほど多くない。最後だというなら質問に答えるぐらい構わないだろう。
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:55.93 ID:MINR9RW5o
あれ、疑問系になっちゃった。

「……それってさ、同級生?」

「ううん」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:41:33.03 ID:MINR9RW5o
振り向いて戻ろうとすると、また声をかけられたので足だけを止める。

「さっきお前疑問系だったけどさ、そうじゃなくていいと思う」

「なんの話?」
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:41:59.13 ID:MINR9RW5o
「……俺、出直してくるよ。今になって言うのはカッコ悪いんだけど、ずっと前からお前のこと見てたんだぜ」

もう彼の言葉は耳に届かなかった。

思いがけない他人からの言葉で自覚させられ、改めて想いを胸に問い掛ける。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:42:25.92 ID:MINR9RW5o
でもいくら会いたくても、あの人にとっての私はたまたま出会った小学生の一人に過ぎないし、そもそもどうやったら会えるのか、何をしているのかなんてわからない。

───そうだ、平塚先生なら知っているはずだ。

そこまで考えると、振り向いてお礼を言ってから足早に教室に戻った。やりたいことが見つかると、足取りは弾むように軽かった。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:43:48.89 ID:MINR9RW5o
ここまで

時間かかった割に案外短かった
ぼちぼち更新してくので気長にお付き合いください
なおpixivでも同じもの投稿してます
以下略



20:名無しNIPPER[sage]
2015/12/24(木) 00:53:46.02 ID:aFCw7WQFo
乙です!


21:名無しNIPPER[sage]
2015/12/24(木) 01:21:40.42 ID:zQWYAvOKo
どうせ葉山か戸部か戸塚のことが好きなんだろ…


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