1: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:32:16.96 ID:kvJDh1Sbo
・地の文
・非一人称
・雪歩誕生日おめでとう
・ただしイチャイチャはしない
よろしければお付き合いください
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2: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:33:05.48 ID:kvJDh1Sbo
「お疲れ、雪歩」
そう言うと、男は助手席のドアを開けた。
振り返った先には一人の少女が佇んでいる。
3: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:33:42.54 ID:kvJDh1Sbo
「どうだった?」
プロデューサーが隣に座る雪歩へと問いかける。
飾りの一つもない言葉。
4: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:34:22.73 ID:kvJDh1Sbo
雪歩は異性が苦手である。
それなのになぜアイドルになったのかというと、弱い自分を変えたいから、という理由からだった。
そんな想いだけで一歩を踏み出せるのだから、芯の部分に秘めた強さは相当のものだろう。
プロデューサーはそう思う。
5: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:35:05.64 ID:kvJDh1Sbo
本来後部座席にいるべきアイドルが助手席に収まっているのも、その努力の一環である。
少しでも異性に慣れるために。
そう言って助手席に乗ることを提案したのは雪歩だった。
そしてプロデューサーは、そんな雪歩の想いを尊重した。
6: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:36:35.73 ID:kvJDh1Sbo
「で、でも、私、失敗もしちゃったし……」
とはいえ、異性への苦手意識が完全に払拭されたわけではなく。
プロデューサーをはじめとした、よく知る異性以外には今も緊張してしまう。
7: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:37:02.54 ID:kvJDh1Sbo
「プロデューサーの言うことも分かるんですけど……」
けれど、雪歩はそう考えることができなかった。
それは彼女の性格がそうさせることなのかもしれない。
8: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:37:50.53 ID:kvJDh1Sbo
「少しずつでも前に進んでる自分を認めてやらないと。現に俺とはこうやって普通に話せるようになったんだし」
「それは、プロデューサーだからで……」
9: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:38:41.07 ID:kvJDh1Sbo
「それに、犬の方も少しずつ成果が出てるらしいじゃないか」
この数ヶ月、雪歩は苦手な犬を克服するべく特訓している。
その甲斐あってか、事務所仲間の飼い犬を触れるようにはなったらしい。
10: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:39:19.47 ID:kvJDh1Sbo
「俺は、そうやって苦手に正面から向き合って何とかしようとする雪歩の強さを、すごいと思ってる」
「そ、そんな。私なんてダメダメで……」
11: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:39:58.18 ID:kvJDh1Sbo
「雪歩が自信を持てない分、俺が褒めるから」
プロデューサーの口角が持ち上がる。
雪歩の反応が楽しみで仕方ない、といった表情だった。
12: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:42:11.93 ID:kvJDh1Sbo
自信なんて、持てと言われて持てるものではない。
それはプロデューサーも重々承知している。
ただ、ほんの些細なことでもいい、きっかけにさえなれば。
そんなことを考えながら笑みを浮かべる。
13: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:42:56.00 ID:kvJDh1Sbo
「お、どうした?」
小さくこぼれた笑いは、それでもプロデューサーに届いたらしい。
14: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:43:22.57 ID:kvJDh1Sbo
「ちょっとでいいんだよ。それが次の一歩につながるんだ」
プロデューサーは嬉しさを隠そうとしない。
純粋に、雪歩が前向きになってきていることを喜んでいる。
15: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:44:09.40 ID:kvJDh1Sbo
***************************
「到着、っと」
16: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:44:44.58 ID:kvJDh1Sbo
「ちょっと遅れちゃいましたね」
雪歩が到着すれば、全員集合となるはずだ。
全員で集まるために奔走した、当のプロデューサーに複雑な笑みが浮かぶ。
17: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:45:32.62 ID:kvJDh1Sbo
「雪歩、後ろの袋取ってくれないか」
それだけを言い、プロデューサーはトランクへと向かっていった。
振り返ると、そこには一抱えほどもある袋が鎮座している。
18: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:46:25.43 ID:kvJDh1Sbo
「…………ふぇっ!?」
ぽかんと口を開けたまま固まる。
言葉の意味を理解するのに、少しばかり時間が必要だった。
19: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:47:11.06 ID:kvJDh1Sbo
「まだ犬が苦手みたいだからさ、ぬいぐるみで慣れるのもいいかなって思ったんだが」
そんな声をかけられても、雪歩はいまだに固まったまま。
その目だけが、キョロキョロと落ち着きなく動いている。
20: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:47:55.14 ID:kvJDh1Sbo
「い、いえ、とっても嬉しいです」
そう、嬉しい。
それについては間違いない。
21: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/12/24(木) 19:48:25.84 ID:kvJDh1Sbo
「女の子へのプレゼントなんて、どうすればいいのかよくわからくてな」
『女の子』
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