1:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 19:47:16.50 ID:r/YI2ILr0
それは、ちょっとした正義感から出てしまった行動だった。
「はぁ〜今日も部活疲れたぜ」
「秋人はまだいいじゃん。上手いんだし。僕なんて全然だよ」
「いやいや。春樹だって上手くなったと思うよ。今日とかあのシュートはファインプレイだったぜ」
そう言ってニカッと笑って見せる少年の名前は長月 秋人。
勉強も運動もできてイケメンで性格も良い。なんでもできるすごいやつなのだ。
対して僕、梅原 春樹は平凡な中学2年生。 顔も勉強も運動も、平均的なレベルだ。
こんな僕と完璧な秋人が仲良くしてくれる理由はよく分からないが、僕としては嬉しいことである。
そんな僕らは、今はサッカー部に入っている。
「にしてもあちぃな〜。どっかの自販機でジュースでも買って行こうか?」
「自販機は高いよ。コンビニで買った方が早いよ」
「ふーむ、そうか〜。お」
秋人が前方に目を向けたまま声を出したので、僕もその視線を追いかける。
そこには、僕の幼馴染でもありクラスメイトでもある、波川 夏美。
色素の薄い長髪に整った顔。清楚と言う言葉がよく似合う。
5歳の頃からずっと片思いをしてきた少女だ。
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2:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 19:53:05.35 ID:r/YI2ILr0
「お前の想い人じゃん。挨拶してきなよ」
「へ?無理無理無理!緊張して声が裏返っちゃうよ」
「もったいないなぁ。しゃーない、俺が話しかけてきてやるよ。おーい」
「おい、やめろって・・・・・・」
3:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 19:56:09.49 ID:r/YI2ILr0
「危ない!」
僕は鞄を投げ出し彼女の元に走る。
部活で疲れた体から汗を飛び散らせながら、彼女の元に行く。
まだ間に合う!まだ間に合うんだ!
4:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:00:04.11 ID:r/YI2ILr0
−−−
「いやぁ、なんか悪いことしたな。俺のせいで」
目の前で黒い子猫がそう言う。
5:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:03:15.06 ID:r/YI2ILr0
「全く、変なやつだなぁ。まぁいいさ、そこの扉を潜れば、転生できる。ここのことも今まで生きた人生も全てやり直してな」
・・・・・・。
「あ?なんだよ。何か言いたげな顔じゃねえか」
6:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:06:21.06 ID:r/YI2ILr0
瞼を開けると、そこはいつもどおりの下校道だった。
今、なんか長い夢を見ていた気がするけど・・・気のせいか?
そんなことより、僕は生きている!
なんだ、てっきりダンプカーに轢かれて死んじゃったと思ったよ。
7:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:09:14.39 ID:r/YI2ILr0
幽霊という体は、やることがなさすぎてとても退屈だった。
何を触っても通り抜けてしまうし、誰にも相手されない。
それこそ、最初はノリノリで女子風呂を覗いたり、夏美の生着替えを近くで見つめたりしたさ。
それは純粋に楽しかった。
しかし、そんな行為も一ヶ月も続くとすっかりやる気すら失ってしまった。
8:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:13:11.10 ID:r/YI2ILr0
−−−
「コイツが死んで、もう一ヶ月か・・・・・・」
俺は力無く呟きながら、墓石に水をかける。
9:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:16:29.69 ID:r/YI2ILr0
「春樹君・・・・・・」
「もう一ヶ月・・・・・・早いよな。まだあの日のことを忘れられねえよ」
花を供えながら呟く。
本当に、あっという間だ。今でも、瞼を閉じればあの光景が余裕で思い浮かぶ。
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