過去ログ - 楓「命短しススメよ乙女」
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108:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:33:06.46 ID:49W9hqJ1o

◇ ◇ ◇

1年前と同じ、冷え込んだ空気に星が綺麗な夜だった。

以下略



109:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:33:44.56 ID:49W9hqJ1o
大人たちの娘自慢、というよりもドール自慢大会が始まろうとしていたその時、凛がこっそり卯月に耳打ちするとおもむろに席を立った。

凛「…………あんたも来なよ」

蘭子「わわわ私ですかっ?!」
以下略



110:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:34:29.90 ID:49W9hqJ1o
凛「……それで、あんたが卯月の新しい友達ってわけ?」

蘭子「え? は、はい……たぶん……」

凛「ふぅん……」
以下略



111:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:35:01.61 ID:49W9hqJ1o
卯月「でもね蘭子ちゃん。凛ちゃんは別に蘭子ちゃんのことが嫌いなわけじゃないんです。こんな風にツンツンしてるけど、根はとても優しい女の子なんですよ」

蘭子「う、うん……」

卯月は蘭子と違って随分おしゃべりなドールだった。
以下略



112:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:35:40.97 ID:49W9hqJ1o
卯月「お父さんは、安物ドールだから欠陥の一つもあるだろうって言ってました。やっぱりそうなのかな?」

凛「欠陥なんかじゃない!」

凛が激昂した。
以下略



113:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:36:26.76 ID:49W9hqJ1o
卯月「り、凛ちゃん! そんな言い方駄目ですよ、相手の方に失礼です!」

凛「卯月は黙ってて」

近寄れば噛み付かれそうな勢いである。柴犬ならぬ渋犬。
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114:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:37:25.35 ID:49W9hqJ1o
「おお、やっと主役2人が戻ってきた」とは渋谷部長の言葉である。
凛はそんな父の白々しさにうんざりした。
主役を忘れて話し込んでいたのは誰だとでも言いたげな表情である。

改めて乾杯の音頭をとると、凛はまた下世話な話が続くかと思い嫌になったが、流れは予想外な方向へ進んだ。
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115:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:38:15.05 ID:49W9hqJ1o
凛は考えを改めた。
この蘭子というドールは愛されるためにここに存在しているのだと悟った。
羨ましいと思った。
この血の繋がっていないはずの3人には、家族よりも家族らしい絆があった。

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116:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:39:16.18 ID:49W9hqJ1o
渋谷夫妻がしきりに蘭子に話しかけている。
時折美優が助け舟を出しながら、蘭子は一生懸命質問に答えていた。
卯月がその横に座ってニコニコと話を聞いていた。
「いつもどんな本を読んでいるの?」
「えっと、クトゥルフ神話とか……あと、二宮飛鳥先生の漫画とか……」
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117:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:40:06.67 ID:49W9hqJ1o
楓「蘭子には、与えられるだけじゃない、与える喜びを知って欲しいなって……そんな風に思うんです」

凛は、自分が卯月に望んでいるのがまさにその事だと感じた。
しかし具体的にどういう意味なのかは分からなかった。

以下略



118:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 01:40:50.18 ID:49W9hqJ1o
そうして卯月と凛が2人だけの世界に浸り始めた一方、大人たちはもはや蘭子の話題から遠ざかって大人たちだけの会話に興じていた。
蘭子はしゃべり疲れたので黙ってその中に居た。
正直、早く帰ってプレゼントの画集をじっくり眺めていたいと思いながら、それでも我慢して手持ち無沙汰にジュースを飲んだりしていた。

次第に蘭子はうつらうつらして舟をこぎはじめた。
以下略



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