824:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:35:58.42 ID:J5LgB8ivo
全力で走ってきたつもりだ。
お兄ちゃんに、お祖母ちゃんに、お母さんに、いつか、認めてもらえる。
825:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:36:37.39 ID:J5LgB8ivo
扉の向こうは下り階段になっていた。
埃と黴の匂いの混じった湿った空気が、地下から吹き込んでくる。
風の音が怪物の吠える声のように聞こえる。
826:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:37:25.92 ID:J5LgB8ivo
一歩踏み出すと、冷たい風がわたしの首筋をするりと撫ぜる。
身をすくませるような怖気。
827:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:38:09.29 ID:J5LgB8ivo
「……探した」
息を切らして、彼はそこに立っていた。
828:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:38:58.68 ID:J5LgB8ivo
つづく
821のgは誤入力です。
829:名無しNIPPER[sage]
2017/10/30(月) 08:16:54.68 ID:B4OfXvSe0
おつです
830:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:18:44.68 ID:lNpLKx20o
◇
「この先なのか?」
831:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:19:40.83 ID:lNpLKx20o
「ケイくん、待って……」
「待たない」
832:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:20:33.78 ID:lNpLKx20o
「たぶん、夢みたいなものなんだよ」
彼はもう一度繰り返した。
833:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:21:03.51 ID:lNpLKx20o
階段の先は暗闇で、どこまでも吸い込まれそうな暗闇で、たとえその先に足場がなかったとしても不思議ではないような暗闇で、
わたしは進むことがおそろしくなった。
「なあ、愛奈。おまえに聞いておきたいことがあるんだ」
834:名無しNIPPER[saga]
2017/11/03(金) 00:21:50.93 ID:lNpLKx20o
「結局、ひとりぼっちじゃないか。こんな奇妙な旅までして、なんにも得られずに、ただ帰って、誰もいない」
「……」
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