過去ログ - 海未「エチュード」
1- 20
7:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:21:51.07 ID:QB1AagmFO
音が部屋の空気に吸い込まれるようにして消え入り、真姫は一息ついて手を休める。
そんな真姫の背中に、海未は拍手を送った。
真姫はびっくりして後ろを振り向いた。

「き、来てたの?」
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:22:52.25 ID:QB1AagmFO
「それにしても、いい曲でした」
「でしょ。私も気に入ってるの」
「何という曲なんですか?」
「ショパンのエオリアンハープっていう曲よ。これでも練習曲なの」

以下略



9:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:24:36.95 ID:QB1AagmFO
テーブルの上には真姫の母親が淹れてくれた紅茶が置かれている。
薄赤く透明な液体の表面から、湯気が細くゆっくり立ち上って消える。
内側に薄青く小さな花がいくつか描かれた白いカップに、縁に金の装飾のあるソーサー。
海未は若干おぼつかない手取りでカップを口元へ運び、一口含む。
ほのかな苦みと香りが口の中いっぱいに広がって、思わず息を呑んだ。
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:26:25.96 ID:QB1AagmFO
真姫は五線譜ノートを手に取り、ぱらぱらめくる。
綺麗だが、使い込まれてるのが見て取れる。
今までもこのノートを使って曲を書いていたのだろう。

あるページでめくるのをやめて、
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:28:11.00 ID:QB1AagmFO
聴き終えると、イヤホンをはずし、プレイヤーを真姫のもとへ返す。

「いいですね」

海未は率直な感想を述べた。
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:29:04.37 ID:QB1AagmFO
真姫は海未に歌詞のあらゆる点についてイメージを尋ね、楽譜にメモしていく。
嬉しそうに、舞い上がる感じで、少しだけ憂いを、……など。まるで取材を受けているかのような感じ。

「……こんなものでしょうか」
「うん、ありがとう。参考になったわ」
以下略



13:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:30:24.49 ID:QB1AagmFO
海未はこの静かな部屋に一人、ぽつんと残された。

聞こえるのは時計の秒針がカチカチと鳴る音だけ。
その音のする方を向くと、美しい装飾の施された時計が壁に掛けられてあった。
あまりに静かなので身じろぎ一つするのも躊躇われた。
以下略



14:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:32:51.90 ID:QB1AagmFO
ピアノのそばまで来た。黒と白の鍵盤がずらりと並ぶ様は壮観。
光沢があって、つやつやしてるのが見ただけで分かる。
蓋の内側に目を移すと、金色に輝く様々な部品、無数の細い線があらわになっている。
一体どんな構造なのだろう。海未はまるで幼い子がはじめて見るものに興味を示すようにまじまじと見つめていた。

以下略



15:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:33:46.21 ID:QB1AagmFO
そのとき、真姫がドアを開けて部屋に入ってきた。

「海未?」
「ごっ、ごめんなさい、勝手に触ってしまって」

以下略



16:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:35:52.64 ID:QB1AagmFO
海未は少し気になっていたことを思い出した。

「さっきは、楽譜なしで弾いてたんですか?」
「さっき、って海未が来たとき?」
「はい」
以下略



17:名無しNIPPER[sage]
2016/10/19(水) 01:37:06.99 ID:QB1AagmFO
海未は突然のことに動揺を隠せなかった。

「私が、ですか?」
「そ。せっかくだし、何か1曲でも弾けるようになりたいと思わない?」
「とはいいましても・・・」
以下略



28Res/15.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice