4: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:02:26.72 ID:XfSadNeEO
少年は、走っていた。
ただひたすらに、走っていた。
何処に向かっているか、場所は分からないが方向ならば分かる。
5: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:03:11.35 ID:XfSadNeEO
助けを求めるでもない叫びを上げた後、卯月は再び自分の置かれた立場に目を向けた。
何処かも知らない場所。
寝間着のままの自分。
6: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:03:45.88 ID:XfSadNeEO
「…な、何…?」
音がした訳ではない。
声がした訳ではない。
7: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:04:28.86 ID:XfSadNeEO
「…!……!」
人は、本当の恐怖に対面するとこうなるのか。
極度の緊張からか、声が出ない。
8: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:05:04.24 ID:XfSadNeEO
「…」
その風貌、その大きさ。
一瞬で分かる、自分にはどうにも出来ないだろう、生き物としての差。
9: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:05:59.87 ID:XfSadNeEO
『…!…!』
その大きなムカデは、何かを嫌がるような仕草をし出した。
肉食で、食欲旺盛なムカデが今、目の前にいる獲物を捕えることを中断してでも、だ。
10: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:06:44.31 ID:XfSadNeEO
…。
「…ゃん…」
誰かが、自分を呼んでいる。
11: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:07:40.54 ID:XfSadNeEO
…。
「…」
「…ったく…なんたってそんなカッコであんなとこに居たんだよ…」
12: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:08:27.74 ID:XfSadNeEO
「……ご、ごめんなさい…」
「…良いよ。……で?」
「え?」
13: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:09:11.92 ID:XfSadNeEO
ここは何処だ。
至って純粋な疑問をぶつけたつもりだったが、それを意外な質問だという顔で返したカズマ。
「…」
14: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/05(月) 21:09:58.16 ID:XfSadNeEO
「へー…じゃ、その…つまりだ。この世界の…事?は知らないってこと…か?」
「…はい。…多分…」
カズマとの道中、自身の生い立ちや、346プロダクションでの話を、端的にではあるが彼に話してはみた。
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