45: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:45:34.00 ID:LNih3IB00
まず俺は、幸子の通う中学へ殴り込みをかけた。
いや、殴り込みといっても腕力に頼ったわけではない。大人の俺は、舌戦だ。
担任教師との面談を取り付け、いじめを見過ごした事実を糾弾し、諭し、少しばかり脅してやり、味方につけた。
46: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:48:20.03 ID:LNih3IB00
なんとかこれで、幸子の帰る場所は確保できただろう。
幸子が再び登校を始めても、同じ結果を辿りはしない。
問題は、折れた幸子の心を治す方だ。
47: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:50:00.85 ID:LNih3IB00
「俺に、幸子と話をさせてください」
「昨日も言いましたでしょう。幸子本人が拒んでいます。私からは許可を出せません」
「なるほど、幸子から許可をもらえば良いわけですね」
48: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:51:24.48 ID:LNih3IB00
俺は階段を上がり、『さちこの部屋』と木製のボードの提げられたドアの前に立つ。
深呼吸。息を整えて、口を開く。
「幸子、俺だ。無理矢理連れ戻しに来たわけじゃない。まずは、お前と話をしにきた」
49: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:53:28.04 ID:LNih3IB00
眠ってしまっているのかもしれない。
そんな不安を振り払い、言葉を続ける。
まだ夕方だぞ。起きているに決まっている。きっと、聞いてくれているはずだ。
「だから、お前が心配するようなことは何もない。再開するのはすぐじゃなくて良い。気持ちが落ち着いてからで良い。ただ、話だけでも、返事だけでもしてくれないだろうか」
50: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 21:57:03.23 ID:LNih3IB00
そして日が暮れ、さらに夜が明けるまで、ノックの音は計3回だった。
俺はノックの音を耳にすると、すぐさま立ち上がり、幸子へ「どくぞ」と声をかけてから隣室へと移った。
ドアの開閉音がして、しばらくし、二度目の開閉音を耳にした後に、幸子の部屋の前へと戻る。
それを3回繰り返した。
51:名無しNIPPER[sage]
2016/12/08(木) 21:58:35.85 ID:oNFst+uio
これ一睡もできない状態って相当クるけど次の身体に疲労は引き継がないのかな
52: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:01:43.56 ID:LNih3IB00
廊下の突き当たりには小窓がある。
そこから差す朝の日差しが、鋭く俺の目を襲った。
眠れば俺は世界から縁を切られてしまう。
裏を返せば、眠らなければ良い。
53: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:04:47.29 ID:LNih3IB00
深夜3時頃にノックの音があった。
足音からノックまで少し間があったので、何かしらの迷いがあったのだろう。
俺は「どくぞ」と声をかけ、隣室へと移動した。
再び開閉音があったのでドアの前へと戻ると。
54: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:06:09.42 ID:LNih3IB00
二度目の夜が明け、さらに変化があった。
「プロデューサーさん、どいてください」
ノックではなく、幸子が、直接声をかけてくれるようになったのだ。
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