13:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:18:34.35 ID:jvzcG60Ao
何度目かのカーブを曲がった頃、窓の外に黒く巨大な球体が見えてきた。
月の裏側より飛来して以来ただ黙して鎮座するばかりの、謎の巨大物体。
黒き月の涙と呼ばれるようになったそれは、
アミとマミが暮らすこの町にも落着していた。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:22:11.82 ID:jvzcG60Ao
長きに渡り周囲の風景を反射するのみであった球体の表面に、
今、光を放つ縦一文字の亀裂が生まれた。
初めは鋭利な切り口を思わせた裂け目であったが、
それは見る見るうちに広がり、ぽってりとした楕円状になった。
まるで球体が口を開いたかのように。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:24:07.34 ID:jvzcG60Ao
アミの指した先を見たマミはその途端、アミと同様に両手で耳をふさぐことを忘れた。
光を放つ球体の口腔に、人型を形成する影が現れたのだ。
それは、あまりにも巨大。
響き続ける轟音をまとい、まさしく巨人は、球体の中からのそりと進み出てきた。
16:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:25:56.09 ID:jvzcG60Ao
・
・
・
「ンフフフフ。始まりましたわ、ハルシュタイン閣下」
17:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:27:12.10 ID:jvzcG60Ao
《常勝》とは困難な戦いを勝ち抜いてこそ輝く称号である。
勝利がわかりきった作戦など、彼女にとっては侮辱以外のなにものでもなかった。
ハルシュタイン「イオリ……。あの星を、甘く見ない方がいい」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:28:21.18 ID:jvzcG60Ao
――山が燃え盛る炎に包まれる中、
アミとマミは煤だらけになりながらもようやく祖父の研究室にたどり着いた。
乗って来たバスは火災によって立ち往生し、二人は山の中腹から徒歩を強いられた。
その間にも怪ロボットは山を燃やし尽くしながら市街へと向かい、
混乱のエリアを拡大し続けている。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:30:56.57 ID:jvzcG60Ao
アミ「じいちゃ……」
もう何度目かわからない声を張り上げようとしたところで、アミがふいに言葉を止めた。
どうしたのかとマミは振り向こうとしたが、理由は聞かずともわかった。
二人の行く先に、淡く輝くものがあった。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:31:54.83 ID:jvzcG60Ao
二人が再び探索に戻ろうとしたその時、突如、宝石が発する光の光度が強くなった。
驚きに見開かれたアミとマミの目に映ったのは、
光の中に現れた蒼い鳥の姿であった。
マミ「鳥? 蒼い……鳥……」
21:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:33:40.75 ID:jvzcG60Ao
『孫たちよ、ワシはこの日のために準備した。
希煌石《キラジェム》の輝きに身を任せよ。怪ロボットを打ち倒すのだ!』
アミ「爺ちゃん! どこにいるの!?」
22:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:36:26.87 ID:jvzcG60Ao
戸惑う二人を尻目に、ふいに蒼い鳥は飛び立ち、円を描いて旋回し始めた。
すると空中に厚さのないモニター画面が浮かび上がり、映像が映し出された。
「!?」
23:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 21:37:33.25 ID:jvzcG60Ao
『ならばどうする孫たちよ! 希煌石は今、お前たちの手の中にあるのだ!』
マミが手にしていた腕輪を見る。
アミがそれに倣う。
希煌石と呼ばれた輝くパーツが、誘うように、発する光を揺らめかせた。
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