226:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:21:28.38 ID:9MPQtGy4o
足の裏から噴射し、キサラギに似せて造られた地球防衛軍初の巨大ロボは、
大きく振動しながら巨体を舞い上がらせた。
ロケットエンジンが放つおびただしい煙が膨れ上がり、轟音が地面を震わせた。
加速を得て、リッチェーンの体はぐんぐんと上昇していく。
227:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:22:01.21 ID:9MPQtGy4o
軍の索敵システムと連動しているインカムが二人の耳に警報を鳴らした。
怪ロボット接近――
遠方に目を凝らしてみれば、
迫り来る黒い影がついに視認できるところまで接近してきていた。
だがそれでも、アミたちは立ち上がることができない。
228:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:24:01.74 ID:9MPQtGy4o
キサラギの声の正体は謎に包まれている。
それはパーツ同士が軋み合う音だとも、
通信系統の混線によるものだとも、色々な憶測が語られていた。
しかしアミたちは、キサラギの心が発するものだと信じていた。
229:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:24:29.58 ID:9MPQtGy4o
マミ「やだ……どうして泣くの……?」
アミ「キサラギ……キミは……」
キサラギの涙は止まらない。
230:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:25:02.33 ID:9MPQtGy4o
ノイズにまみれた、それは歌だった。
甘くて悲しい、恋の歌。
放送電波と混線したのだろうか?
それとも、誰かが悪戯に取り付けた機能が、
何かの拍子に起動したのだろうか?
231:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:25:30.23 ID:9MPQtGy4o
駆動音がアミたちの体に響いてくる。
アミ「え……?」
マミ「キサラギ……」
232:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:26:01.90 ID:9MPQtGy4o
アミ「爺ちゃん……!?」
希煌石の中から現れたのは蒼い鳥。
しかしかつてのように言葉を発することはなく、
ただ懸命に羽ばたいてキサラギが掲げた腕に沿って舞い上がっていく。
233:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:26:48.89 ID:9MPQtGy4o
蒼い鳥の飛翔に促されるように、まずアミがゆっくりと立ち上がった。
呼応するように、一拍置いてマミも立ち上がる。
二人の心音に同調するように脈打つ希煌石。
その輝きに包まれて、アミとマミは祖父の言葉を思い出していた。
234:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:27:36.13 ID:9MPQtGy4o
マミ「後悔するのは怖い……後悔するなら、何もしない方がマシ……」
『でもミキは嫌なの! 何もせずに諦めるのは絶対に嫌いなの!』
つぶやいたマミの声に答えるように、
235:名無しNIPPER[saga]
2017/01/30(月) 21:29:10.45 ID:9MPQtGy4o
アミマミ「結果オーライ、大逆転……。そうだよ、私たちには……」
希煌石がある!
二人揃ったその声は、
掲げられた希煌石から溢れる光の奔流の中に飲み込まれた。
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