589:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:19:28.55 ID:VlmQnypho
ハルシュタインが全精力を注ぎ込み作り出した、闇の渦巻く空間。
光をすら捻じ曲げるというブラックホールの如き深淵。
そのあまりに深い闇はアミたちだけでなく、地球からも確認できるほどであった。
目で、または全身の感覚で、地表の者は闇の出現を感じ取り、上空を見上げる。
そしてその闇が今、地球の希望を飲み込もうとしていた。
590:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:21:10.61 ID:VlmQnypho
がくん、と機体が大きく揺れる。
同時に危険を知らせる警報がコクピット内に響き渡った。
アミ「こ、このっ! 離せ! 動け……!」
591:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:22:50.06 ID:VlmQnypho
こうしてキサラギは、リッチェーンと無尽合体した姿であるハイパーキサラギの形態となり、
アミとマミはリッチェーンのコクピット内に収まる形となった。
大きく突出した部分を切り離したことで、うねる奔流に捕まりづらくはなっている。
だが当然ではあるが、アミが懸念した通りパワー自体はぐっと落ちることとなる。
ハイパーキサラギはそれまでを上回る速度で、空間の深奥へと引きずり込まれ始めた。
592:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:25:14.06 ID:VlmQnypho
しかし、その時。
アミマミ「え……!?」
マミの体が強い輝きを放った。
593:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:27:56.32 ID:VlmQnypho
希照石は、声を伝える希石。
その神秘の力がアニマの巫女ヒビキの祈りを受け、
他の希石と共鳴して力を増幅させていった。
力とは地球人類たちの声であり、想いであり、夢であり、未来であり、希望である。
594:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:29:31.93 ID:VlmQnypho
光を纏ったハイパーキサラギの後退の速度が、見る見るうちに現象していく。
抗うことすらできないと思われた凶悪な重力から、アミたちは確かに逃れ始めていた。
そうして遂にハイパーキサラギの機体はぴたりと静止し、
それから徐々に、前進を始めた。
595:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:31:19.61 ID:VlmQnypho
少しずつ、しかし確実に、
空間の出口までの距離と共に勝利へと近付きつつある。
目前の勝利へと手を伸ばすように
アミとマミはハルシュタインに向けて言葉を投げた。
596:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:33:38.61 ID:VlmQnypho
アミ「そんな……!? せっかくここまで来たのに……!」
マミ「このままじゃ、また引きずり込まれちゃう……!」
オーバーマスター版のキサラギを以てして逃れ得なかった、重力の触手。
597:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:52:06.63 ID:VlmQnypho
アミ「嫌だ……! できないよ、リッチェーンを捨てるなんて!
そんなの、ミキミキを捨てちゃうみたいなものだもん……!」
マミ「お願い、頑張ってキサラギ! なんとか脱出して!
ミキミキのためにリッチェーンを守って! お願い……!」
598:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:52:46.81 ID:VlmQnypho
《大丈夫。ミキならもう、あなたたちと一緒に居るわ》
アミマミ「え……?」
静かであったが、警報にかき消されることなく聞こえた。
599:名無しNIPPER[saga]
2017/03/10(金) 21:54:01.47 ID:VlmQnypho
アミとマミは、単体となったキサラギのステアに掴まり、
後方のリッチェーンを振り返りつつ困惑する。
希石の光が体を包み込み、地球外での生存を可能にしていたようではあったが、
今の二人にはそれすらも気にする余裕はなかった。
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