32:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:36:45.03 ID:ha7ZcpN9o
そう言うと踵を返し、ルビィは慌ただしく公園の外へと駆けていった。
話が合う、ポケモンも可愛い、おまけに本人も愛らしいと三拍子。可愛いもの好きのことりにはたまらない少女だった。
旅に対して後ろ向きになっていたことりの心も、素敵な出会いにふんわりと浮き立っている。
それはそうと、そろそろ夜だ。
33:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:37:13.63 ID:ha7ZcpN9o
振り向いたことりの目に留まったのは一人の少女。いや、女性と呼ぶべきか?
ことりより背の低いその女性は、強気で美しい顔、コートを羽織って凛とした佇まいだ。
年齢は不詳。
ことりよりも下のようにも上のようにも、あるいは世間の荒波に揉まれた凄味をも感じる。
34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:37:46.18 ID:ha7ZcpN9o
…
夕暮れの港、どこか寂しげな汽笛が遠鳴り、残響を揺らしている。
本来ならまだ港湾労働者たちが残っているはずの時刻なのだが、穂乃果が周囲を見回してみてもまるで気配がない。
35:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:38:19.51 ID:ha7ZcpN9o
威勢良く放った初撃から一転、くるりと踵を返して逃走に転じる。
穂乃果は存外冷静…と言うより、とんでもなく肝が座っているタイプ。
ピンチにも決断力は鈍らない!
36:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:38:45.60 ID:ha7ZcpN9o
鳥に比べて優雅な印象の蝶の羽ばたき。しかし生じる風はまるで小規模な台風。
穂乃果とヒトカゲは風の壁に殴りつけられ、体がふわりと空に浮く。
飛び、転び、叩きつけられて擦れる頬。
ヒトカゲに刻まれたダメージはさらに重い!
37:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:39:16.11 ID:ha7ZcpN9o
あんじゅ「ゆっくりおやすみなさい?あなたのヒトカゲちゃん、私がもらって有効活用してあげる」
穂乃果「そんなの…嫌だ!お願い、キャタピー!」
38:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:39:51.77 ID:ha7ZcpN9o
新たに射出した糸がもう一台のクレーンフックを捉え、穂乃果はターザンめいた、あるいはスパイダーマンめいた挙動で勢いよく空を切る。
水面すれすれ、たとえ水でも激突すれば死にかねない速度で穂乃果の体は海上を滑空。度胸が据わっている。
腕にブレーサーのように装着したキャタピーが全力で踏ん張っている。
小さな体にかなりの負担をかけているはずだが、そこはポケモン。人間よりはよほど頑丈に出来ている。
39:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:40:22.17 ID:ha7ZcpN9o
ヒトカゲが全力で放った炎はキャタピーの糸へと引火する。
火に弱いむしタイプの糸、もちろん可燃性でよく燃える。
火の粉は炎へと姿を変え、張られた虫糸のラインを辿って一直線にあんじゅへと向かっていく!
そう、これは擬似的な“かえんほうしゃ”だ!!
40:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:40:49.66 ID:ha7ZcpN9o
…
英玲奈「キリキザン、“つじぎり”」
41:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 02:41:22.04 ID:ha7ZcpN9o
ジム戦の経験を経て、ケロマツは技の使い方をさらに上達させている。
波動を球形ではなく楕円形に、ラグビーボールのような形状へと変化させて投じることで、風の抵抗を減らして命中精度を高めているのだ。
しかし。
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