791:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:08:14.85 ID:HHfyV3AE0
飲み物コーナーでひとつ、お菓子コーナーでひとつ、レジ前のホットスナックをひとつずつ適当に選ぶ。
会計をする間はさすがに手を離して、店を出てからまた手を繋ぐ。
今度は指を絡ませられた。どういう心境の変化だろう。
792:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:10:21.63 ID:HHfyV3AE0
【VS】
ドアを開けると、彼女は二階へ向かうことなくテーブルにつく。
そして、目の前の様子を気にせずに、買ってきたものを袋から取り出す。
793:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:11:06.84 ID:HHfyV3AE0
「おにいと付き合ってんの?」
「答える必要ある?」
794:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:12:02.58 ID:HHfyV3AE0
「お兄ちゃんが、わたしに一緒に部屋に戻ろうって言ったんだよ?
それをとやかく言う筋合いがどこにあるの?」
「はあ?」
795:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:12:44.05 ID:HHfyV3AE0
でも、いくら踏み出そうとしても足がうまく動いてくれない。
吐きそうになるほどの不快感。金縛りにでもあったように、身体が強張る。いつもそうだった。
佑希がこちらに縋るような目を向けている。
796:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:13:34.49 ID:HHfyV3AE0
そして、それは優しさではなく俺の利己的な思考に基づく態度だった。
俺がやるしかなかったから、今まで彼女を支えてくれる人は現れなかったから、誰も使い物にならなかったから。
──先輩以上にそういう役目が適任な人はいないと思います。
797:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:14:05.90 ID:HHfyV3AE0
だが、今の様子を鑑みるに、その認識は全くの誤りであったことに気付いてしまう。
いくら自分を磨いて外面を取り繕っても、肝心の弱い内面までは矯正できていない。
心の何処かで誰かに選択を委ねている。
798:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:14:45.06 ID:HHfyV3AE0
「……お兄ちゃん。もういいよ」
目が合う。
言葉を続けようとして、彼女の口が何度か形を変える。
799:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:16:08.74 ID:HHfyV3AE0
【1/4】
佑希の過去について語ることは、この家の問題点について語ることに通じるかもしれない。
800:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:16:59.13 ID:HHfyV3AE0
彼女は他者から認められないことにひどく怯えていた。
いつも誰かに褒められていないと、自分の存在意義を疑うような言動を取ることも少なくはなかった。
だから、彼女は自分の弱い内面を鎧を纏うために、すべてのことに全力で取り組むようになっていった。
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