1:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:17:07.20 ID:BBRlU/0B0
落ち葉と枯れ葉が散らばる地面を踏みしめる度、がさ、がさ、ぎゅっぎゅと音がする。
小枝がへし折れ、ぱき、と音がする。
風の音、葉が擦れる音が聞こえてくる。
それ以外のものはこの森からは何も聞こえてこない。
息を潜め、ゆっくりと、男は地面を踏みしめる。
畑を荒らす何かがこの森に入って行ったのを近隣の住人が見つけてから二日後
男はそれの駆除をこの職の初仕事として引き受けた。
2:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:19:38.97 ID:BBRlU/0B0
息を潜め、ゆっくりと、男は地面を踏みしめる。
風の音、葉が擦れる音が聞こえてくる。
今はそれ以外のものは、何も聞こえてこない。
3:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:24:16.17 ID:BBRlU/0B0
男「うっ…まさかあれ、溜め糞か?」
溜め糞があったという事は、恐らくは。
そう考えて男は腰に手を伸ばし、拳銃を掴んだ。
4:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:25:42.69 ID:BBRlU/0B0
「たぁ〜〜〜〜!!!!」
甲高い奇声に気を惹かれ男が上を見上げると、性器を丸出しにした何かが尻からこちらに落ちてくるのが見えた。
心臓が跳ね上がる。女性器を見た事による性的興奮ではなく、命の危機を感じ取った。
5:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:30:59.34 ID:BBRlU/0B0
逃げた獲物の姿を捉えようと、奇声の主が男を視界に収める。
男も奇襲をしかけてきた奇声の主を視界に収める。
灰色の髪が見える。視覚から入ってきたその情報が、一瞬目の前のそれが人間だと誤認させる。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:32:11.12 ID:BBRlU/0B0
「たぁ〜〜〜〜!!!!」
呆気に取られ、銃口を向けるのを忘れていた男の頭上からまた別の奇声が聞こえた。
男「あづっ!!」ザクッ
7:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:35:04.29 ID:BBRlU/0B0
男は周囲を見渡す。周囲の木々から、何かが這い出てきているのが見えた。
アライちゃんA「のだー」ニュウッ
アライちゃんB「だー」ニュウッ
8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/11/09(木) 00:39:24.99 ID:8uctEsTo0
アライさんマジやばい。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:41:30.42 ID:BBRlU/0B0
だが、これはおかしい。
アライさんがアライグマと同じように木を巣として生活するのは知っていたが、この数は明らかにおかしい。
この一帯が危険地帯、アライさんのコロニーになっているなんて話を男は聞いていなかった。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:44:49.08 ID:BBRlU/0B0
まずい、殺される。男は命の危機を感じて逃げ出した。
拳銃を拾うという選択肢は捨てた。
利き腕を負傷した事と、拾っている間にまた上から奇襲をかけられたら心臓をやられると考えたからだ。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/11/09(木) 00:44:53.11 ID:8uctEsTo0
男。ゲームオーバーか。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:46:26.56 ID:BBRlU/0B0
土と植物、有機体に囲まれた空間に似つかわしくない無機物が擦れる音がしたと同時に彼の左足に痛みが走る。
その痛みと、左足を固定した何かに引っ張られ、彼は落ち葉の溜まった地面に倒れこんだ。
左足を見ると半円型の何かが二枚、彼の左足を挟み込んでいた。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:47:40.63 ID:BBRlU/0B0
アライさんA「ヒトが作った道具にヒトがひっかかったのだ!あいつ馬鹿なのだ!!」
アライちゃんA「やっぱりおとーしゃんのいうとおりらったのらぁ!」
アライちゃんA「ばかなのだ!」
14:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:49:14.98 ID:BBRlU/0B0
身動きが取れなくなった彼にアライさんが近付いていく。
アライちゃんの群れが、まるで古い映画に出てくる肉食の甲虫のように男に近付いていく。
囲まれれば最期、その映画のように殺され、食われ、骨をこの森に晒す事になる。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:50:37.81 ID:BBRlU/0B0
アライさんB「ガイジは生きている価値なんて無いのだ!」
アライさんA「影川の手先はみんなガイジ!なのだ!!」
アライちゃんD「ガイジなのらあああ〜〜〜〜〜!!!!!」
16:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:51:28.52 ID:BBRlU/0B0
下品な笑みを浮かべながらアライさんの群れが自分の両手をこすりはじめた。
祖先のアライグマから遺伝子レベルで引き継がれてきた動き、通称ハエガイジムーブだ。
この害獣どもはこの動きが癖になっていて、隙あらばハエガイジムーブを行う。
17:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:53:41.18 ID:BBRlU/0B0
アライちゃんG「しぬのらぁ〜!あらいしゃんがせいぎのてっちゅいをくだしてやるのらぁ〜!!」コスリコスリ
アライちゃんC「でもまずそうなのりゃ!くさそうなのりゃぁ!!アライしゃんのうんちよりくさそうなのりゃあ!!!」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:55:16.49 ID:BBRlU/0B0
ハエガイジムーブによって擦れる音が重なり、森の中に響く。
アライさんの群れの笑い声が重なり、森の中に響く。
勝利を確信したアライさん達は男を嬲りものにしていた。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:56:51.84 ID:BBRlU/0B0
その瞬間
パァン
20:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:59:23.31 ID:BBRlU/0B0
下品でおぞましいコンサートが開かれている、その少し離れた場所に大きな白い塊がいた。
その白い塊、大型犬の飼い主こそが、今4匹ものアライさんを射殺したハンターである。
アライちゃんC「にげゆのりゃ〜!ぴいいぃぃぃいいいいええぇえええ!」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチ
21:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 01:01:29.20 ID:BBRlU/0B0
飼い主「よくやったねパスカル。助かったよ」
飼い主は大型犬を労い、身体を手の平で撫でる。大型犬はそれに尻尾を振って答え、飼い主からは笑い声が漏れた。
パートナーの労い兼スキンシップを終えた飼い主が男を視界に収める。
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