39:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:06:39.98 ID:A9Sw+MVr0
靴を脱ぎながら彼女の頭をなでる。触れて安心したのか垂れていた尻尾が揺れた。僕と一緒に暮らした時間なんてまだ社に一人でいたときの何百分の何千分の一にも満たないはずなのに、おきつねさまは寂しがりやだった。
普段はこっちから抱きつけば拒むくせに、なんともまあわがままなことだろうか。でも僕は彼女を拒んだりしない。
そっと、まこもの背に手を……
40:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:08:18.05 ID:A9Sw+MVr0
……………………
風呂を上がって布団を敷くとどっと疲れが来る。義務付けられた一日の動きから解放されたその身体は「今日はもういいよね」と休息を求めてきた。
41:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:09:05.23 ID:A9Sw+MVr0
(わざわざ、俺のために?)
おそらく違う。二つ買ったのは多分たまたまで、僕にその内の一個を渡そうと思ったのも多分気まぐれだ。それでも、少しでも気を使ってくれたなら嬉しかった。
「ありがとな」
42:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:09:54.24 ID:A9Sw+MVr0
「ふぇぇ、もう口に入れちゃいまひたよ」
まこもの頬が内側の飴玉に押されてころころと膨らむ。その仕草が子どもっぽくてなんとなくかわいい。
いけない。そういえば今日は全然まこもに触れていない。帰ってきたときも甘えてきたのは一瞬だけだったし……
43:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:11:05.60 ID:A9Sw+MVr0
「ぷはっ……も、もぅ! いきなりなにするんですかぁ!……ってあれ?」
転んだまま舐めていると喉に詰まらせる可能性があるため僕は舐めることなく飴玉を噛み砕いた。りんご味が割れる音にまこもの狐耳が動く。
「ああー! わたしの飴玉取りましたね!?」
44:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:11:50.18 ID:A9Sw+MVr0
「食べないのか?」
「……もういいです。こちらも差し上げます」
まこもは押し付けるように飴玉を突き返してきた。
45:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:12:35.00 ID:A9Sw+MVr0
(やっぱりなんだかんだ言っても僕のこと、少しは気にかけてくれてるのかね)
近いような遠いような……追いかけたら逃げちゃうから、捕まえたら壊してしまうから……僕はしばらく腰を据えることにした。
(できるだけ、な)
46:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:13:31.17 ID:A9Sw+MVr0
追えば向こうからも寄ってきてくれるなら一番楽なんだけど
(そんな夢みたいな話は……)
俯くとできる影、見つめると広がりその闇は深みを増す。
47:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:14:35.05 ID:A9Sw+MVr0
「そう……ですか」
まこもは視線を下にそらすと人差し指で自分の薄い下唇を触った。
(話が見えてこない)
48:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 00:15:33.09 ID:A9Sw+MVr0
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