玉座の間にて
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39: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:47:08.15 ID:ewOe4rJE0

あまりの歯痒さに、腸が煮えくり返りそうになる。だが、だからと言って祖母を投げ出すわけにもいかない。
俺は祖母の言葉に従い、じっと目を凝らす。

呼吸を整え、魔王の剣に穴が開くほどみつめる。
以下略 AAS



40: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:47:35.76 ID:ewOe4rJE0

「不意打ちなら。いや、奴は死角からの親父の剣すら交わして見せた」

「奴の目は、異常なほど良い。魔王は常に、動きある者を視界におき、その挙動を把握できるように努めておる……」

以下略 AAS



41: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:48:03.41 ID:ewOe4rJE0

「ばば様、何か知恵があるなら貸してくれ」

「奴は、自らを前に剣すら抜けぬ臆病者を敵としてみておらんのかもしれん。つまり、いまだ剣を抜いていないお前は魔王にとっていないも同じ。

以下略 AAS



42: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:48:31.08 ID:ewOe4rJE0

魔王を狭間に、祖母と目が合った。これが、今生の別れとなるやもしれぬ。
減らず口の絶えない、気難しい年寄りであったが、いまとなっては何もかもが愛おしくてたまらない。

「ちぇえええいぃあああああああああああああ」
以下略 AAS



43: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:48:58.41 ID:ewOe4rJE0

祖母がその小さき体で魔王の蹴りを受け、壁まで飛ばされる。
その衝撃に、肺腑の空気がすべて抜けたのであろう。祖母の叫声が止まり、ほんの一瞬だけ場が沈黙に包まれた。

ちりん。
以下略 AAS



44: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:49:26.84 ID:ewOe4rJE0

「ここまでか」

利き腕を斬りおとされたというのに、魔王はその冷静さを微塵も失わず穏やな様子であった。

以下略 AAS



45: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:49:53.26 ID:ewOe4rJE0

大叔父上だ。袈裟切りにされて、倒れたはずの大叔父上が息を吹き返し、魔王を逃すまいと覆いかぶさったのだ。
それと時を同じくして、人ならざる獣じみた叫喚が骸の中よりあがった。

「あ゛あああ゛あ゛あ゛ああ゛ああ」
以下略 AAS



46: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:50:21.30 ID:ewOe4rJE0

「誰でもない、私が、私だけが真の勇者だ!」

伯母上の口上に連れられて、倒れたはずの一門の皆々が、続々と立ち上がる。

以下略 AAS



47: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:50:48.32 ID:ewOe4rJE0



「それで、何人生き残ったのだ」

以下略 AAS



48: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:51:15.25 ID:ewOe4rJE0

「―――よかろう。いやしかし、伝説に倣えば魔王を前に、剣を抜いた者を勇者と呼ぶは当然のこと。勇者の称号だけでは、ちと寂しすぎる。

他に、望むことはないのか?」

以下略 AAS



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