4:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:44:26.54 ID:LYl+0qW60
 意味ありげな視線を送りながら、キサキはゆっくりと先生に近づいた。 
  
 「やはり、この格好が一番反応が良いのう」 
  
 「え?」 
5:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:46:06.27 ID:LYl+0qW60
 「コーヒーの香りにも、すっかり馴染んでしまったの。先生が心配になるほど、いつもこれを飲んでいるからな」 
  
 その言葉の真意を掴みかねているうちに、キサキは湯気の立つマグカップを手に戻ってきて、ベッドに座る先生へ差し出した。先生が礼を言ってカップを受け取ろうと手を伸ばすと、キサキは悪戯っぽく微笑んで、ひょいと自分の口元へ運んだ。 
  
 「…先生の味じゃな」 
6:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:47:43.08 ID:LYl+0qW60
 裸足になったキサキは、そのままベッドに乗り込んでくる。ギシギシと小さく軋む音を立てながら、ゆっくりと膝をついて先生に近づいた。先生は無意識に後ずさるが、キサキは触れられるほどの距離で止まり、首をかしげる。 
  
 まっすぐに先生の目を覗き込み、その瞳には期待が浮かんでいた。はだけた胸元から覗く白い肌が、無防備に先生の視界にさらされている。 
  
 「いやいやいやいや…!」 
7:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:49:27.68 ID:LYl+0qW60
 先生が動けないままでいると、徐々にキサキの脚の動きがゆっくりと止まり、頬杖も解かれていった。やがてベッドに完全に寝そべると、キサキは呆れたように、あるいはすねたように、目を細めてため息を漏らした。 
  
 「…はぁ。なんじゃ…そういう趣向ではないのか?前回はこうしていたら、有無を言わさず覆いかぶさってきたというに」 
  
 「……………」 
8:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:50:46.06 ID:LYl+0qW60
 「キサキ!…よくないよ、こういうのは…」 
  
 絞り出すようにそう言った後、ちらりとキサキを見ると、彼女は驚きと戸惑いが入り混じった表情で目を見開いている。 
  
 「…え」 
9:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:51:54.72 ID:LYl+0qW60
 「許してくりゃれ…」 
  
 か細い声が胸に落ちる。 
  
 「いや…」 
10:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:53:21.20 ID:LYl+0qW60
 「…はぁ…もうよい。要するに、そういう気分ではないのじゃろ?考えてみれば気絶したように眠っておったからのう…少しばかり様子が変でもおかしくない」 
  
 「…………痛覚と記憶がおかしくなってるだけでこれが現実の可能性もある…?」 
  
 「なんのことだかわからぬが寝たらわかる。妾が寝かしつけてやるから、大人しく横になってくれ」 
11:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:54:12.79 ID:LYl+0qW60
 「髪をほどいてくれぬか?」 
  
 「私が?」 
  
 「いつもしてくれていたじゃろう…今日はしてくれぬのか?」 
12:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:55:05.36 ID:LYl+0qW60
 「ふふ…乱れた髪を丁寧に梳いてもらうと、大事にされているようで心地が良いのじゃ」 
  
 「…」 
  
 「まあ、その乱れの原因は先生なのじゃがな…整えてもらうのもまた一興じゃ」 
13:名無しNIPPER[sage saga]
2025/05/16(金) 20:56:11.05 ID:LYl+0qW60
 「…ずいぶん楽しそうだね」 
  
 「ん?」 
  
 枕を並べて横たわるキサキが、優しい手つきで先生の頭を撫でている。 
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