38:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:05:45.93 ID:ebftp9go
「ねえ――」
今度見に行っても……と言おうとしてすんでの所で止めた。
言うまでもなくその猫はアイツの部屋にいるのだから、つまりそれはアイツの部屋に行っていいかという質問にも同義だ。
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2011/01/09(日) 15:07:35.19 ID:ebftp9go
手を伸ばす。指先が透明な壁に触れた。
指紋が付いちゃうな、と思いつつ軽く指先で掻くように冷たく硬い感触をなぞった。
「これね、ガラスじゃないの。電磁波とか遮断する特殊な素材でできててさ……。
私ってばほら、こういう能力じゃない。体から常に無意識に微弱な電磁波発してて、それをこの子たちが嫌がるの」
40:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:09:14.65 ID:ebftp9go
突然の事に私の思考は完全に停止してしまった。人間テンパると本当にフリーズしてしまうのだ。
いつものように可愛らしく悲鳴を上げる事はおろか声の一つ、身動き一つの反応すらできなかった。
どうしてそんな顔ができるのか、アイツはなぜかとても優しげな表情で私に微笑んでいた。
何よ、アンタも今日はちょっとやりすぎなんじゃないかしら。
41:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:10:30.47 ID:ebftp9go
それはまるで暗闇を怖がる幼子を宥めるような、優しげで、そしてどうしてだか無条件に信頼できるものだった。
「なんで」とか「でも」とかそんな些細などうでもいい疑問を封殺するような暖かな声色。
私にはむしろ、どうしてそういう響きが紡げるのか不思議でならなかった。
42:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:12:39.94 ID:ebftp9go
私の答えに満足げに笑い、アイツは空いた左手でドアの開閉パネルを押した。
小さなモーター音と共にドアが横滑りに開く。そして私はアイツに手を引かれ、店の中に初めて足を踏み入れた。
ふわりと風。空調によって適温に調整された暖かい空気に乗ってかすかな獣臭が鼻腔に届く。
この臭いを嗅いだのはいつ以来だろう。もしかしたら……そう、ずっと昔、この街にくる前かもしれない。
43:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:13:59.12 ID:ebftp9go
動揺する私にアイツはもう一言だけ付け足す。
「手、離すなよ」
その言葉の意味を理解して私はようやくアイツが手を繋いできた意味を知った。
44:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:16:39.78 ID:ebftp9go
「どうした?」
立ち尽くしたままの私を不思議に思ったのかアイツはこちらに顔を向けそんな言葉をかけてきた。
相変わらず左手の指は子猫と戯れているけれど。
45:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:19:05.91 ID:ebftp9go
「――――」
暖かく、湿った、ざらりとした感触。本当に小さな舌が指先に触れた。
私の躊躇とか葛藤とかそんな面倒な事を全部突き抜けて、彼女の方から私に触れてきた。
46:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/09(日) 16:12:21.13 ID:uQXaunoo
誰だこんなとこに砂糖山積みにしたやつは。
47:VIPにかわりましてGEPPERがお送りしますVID(Tes):cpyrVLCo[sage]
2011/01/09(日) 16:29:48.78 ID:HHUgLd.o
俺を[ピーーー]気か?
48:VIPにかわりましてGEPPERがお送りしますVID(Tes):6reJnoCo[sage]
2011/01/09(日) 16:37:52.31 ID:j6mmsYwo
カロリー摂取しすぎたな
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