過去ログ - 澪「合宿をします!」
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6: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:15:35.71 ID:ltIw3edqo
「ういー、ういー」

純が自分の名前を呼んでいるのが、ずっと遠くでのことに感じられた。
憂は目を細めて、外の光景を見つめた。
蝉はどこにいる? 人工物の中で、一生懸命に鳴き続ける蝉は。
以下略



7: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:16:56.50 ID:ltIw3edqo
「ねえ、純ちゃん……外はさ」

憂は背後の友人に声をかけて、窓ガラスに手を当てた。
ひんやりと冷たかったけれど、その薄いガラス一枚の壁は、これから確実に熱を帯びてくる、
そして、この部屋の中も。
以下略



8: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:18:26.79 ID:ltIw3edqo

「軽音楽部、また今年も合宿するのよ」

クーラーの効いた生徒会室で長い髪を暑苦しく思いながら、山中教諭は冷たい麦茶を飲んでいた。
どうしてこんなことを言ったのかは分からないけれど、言ってしまった以上、教諭は相手の返事を待った。
以下略



9: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:19:44.05 ID:ltIw3edqo

「のーどーかーちゃあん」

それと、教諭の歌うようなきれいな声。
冷たい大理石のような、透き通った声。
以下略



10: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:20:46.48 ID:ltIw3edqo

二人の女の子が日の照り返す道路を元気に歩いていた。
柔らかい髪を縛って、ショートポニーにした女の子は、優しく笑って言った。

「暑いね……どこ行こうか?」
以下略



11: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:22:22.06 ID:ltIw3edqo

早歩きで高校へ着き、自主練をしていたソフト部に頼み込んで、予備のグローブとボールを貸してもらった頃には、二人は汗で襟元を湿らせていた。
憂は相変わらずにこにこと笑った。

「よーし、じゃあ行くよ。胸元の高さに、こう、しゅっ、だね」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/01/23(日) 17:23:26.77 ID:ltIw3edqo

「純ちゃん、変な声」

くすくすと憂が笑った。
憂はグラウンドから見える並木や、雑草や、鳥がみんな暑さに歓喜して踊っているように思った。
以下略



13: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:25:24.91 ID:ltIw3edqo

そこでボールは一旦止った。
ぎゅっと強くボールを握りしめて、憂は精一杯笑った。

「じゃあさ」
以下略



14: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:26:08.62 ID:ltIw3edqo

「どうぞ!」

純は嬉しさに、外気以上に内側から体が熱くなるのを感じて力いっぱいボールを投げた。
以下略



15: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:27:26.65 ID:ltIw3edqo

生徒会室はいよいよもって冷え切って、山中教諭は肩を摩っていた。
全く、夏に寒い思いをしなきゃならないなんて、馬鹿馬鹿しい。

「和ちゃあん……クーラー切りましょうよお」
以下略



16: ◆RLqqTM6o/csr[sage]
2011/01/23(日) 17:28:36.83 ID:ltIw3edqo

「どうぞ」

生徒会長が歳不相応に大人びた笑顔で差し出した麦茶を受け取って、さわ子は目を伏せた。
口をつけて、グラスをくいと傾けると、冷たい水が体を内側から冷やした。
以下略



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