69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:34:25.60 ID:NOUrG0Tf0
翌日、教室へ行く途中で律先輩に止められた。
「昨日、どうだった?」
「どうもこうも、途中で唯先輩が帰ってきて大変だったんですよ!? もう、どうして引き止めてくれなかったんですか?」
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:39:45.12 ID:NOUrG0Tf0
部室は朝の静けさに包まれていた。
それよりも、そのヤバいものとは一体どこにあるのだろうか。ヤバいものとは一体何なのか。
律先輩が無言のまま、どんどん先へ進んでいく。
「あ、あの律先輩?」
71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:50:08.05 ID:NOUrG0Tf0
「き、聞いてください律先輩!!」
「なんだ」
「やっぱり唯先輩が犯人で間違いないです! 私、昨日、憂から唯先輩の思い出の話聞きました。やっぱりあの人、小さい頃から頭がおかしかったんです!」
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:52:17.34 ID:NOUrG0Tf0
虫だけじゃなく近所の動物も手にかけていたという事が、私には信じられなかったし、それから何年も経った今、罪悪感どころか反省の色もない先輩がただ恐ろしかった。
そう、恐ろしかった。あまりの怖さに私は嘔吐感さえ覚える。
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 03:58:28.27 ID:NOUrG0Tf0
このまま誰かに慰めてもらったまま、できることなら全てを忘れたい。もう嫌な目にも遭いたくないし、嫌なものも見たくない。
けど、物事ってそう思い通りはいかないらしい。
背中をさする手が止まった。
「……なあ梓。実はさ、見せたいものってこれだけじゃないんだ」
74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 04:03:08.92 ID:NOUrG0Tf0
律先輩の震える手の平に、アイスの棒がのっていた。
嗚咽がぴたりと止んだ。
「な、なにかの冗談かと思ったんだぜ。さ、さすがに唯もこんなこと……こんな酷いことしないよなってさ」
75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 04:04:53.96 ID:NOUrG0Tf0
いっそ先生方にお願いした方が……と、馬鹿げた考えが浮かぶ。
私も律先輩も無言。
窓の外から、運動部の朝練の声が聞こえている。もうすぐHRが始まるというのに、熱心なことだ。
「……また墓の発見者が出るんでしょうか」
76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 04:12:12.96 ID:NOUrG0Tf0
その日、私は早退した。
こみ上げる嘔吐感も、目から零れ落ちる涙も、全てどうでもいい。世界が灰色に見えるって感覚、本当にあったんだ。
お客さん、つきましたよ。
タクシーの運転手に何枚かのお札を投げつけ、そのまま外へ這い出る。瞬間、地面に吐いた。
77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 04:14:25.71 ID:jfYzoxEgo
どうなるか…
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/02/04(金) 04:17:36.30 ID:NOUrG0Tf0
「もしもし」
『……梓ちゃん、大丈夫?』
「ムギ先輩。何かご用ですか?」
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