過去ログ - ひたぎ「これも、また、戯言よね」
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48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:40:28.21 ID:ooW4dNWwo
・ ・ ・ ・
それなりに見えてしまうのが、少々不快だ。
「忍野さんって――神職の方だったんですか?」
と、ひたぎちゃんが訊いたが、「いや?違うよ?」と、忍野は、あっさり否定した。
「宮司でもなければ禰宜でもないさ。大学の学科はそうなんだけれど、神社に就職はしてい
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:42:19.80 ID:ooW4dNWwo
「ふうん。君は代わり映えしないねえ」
「無茶いいますね。どうも」
同席するとはいえあくまで部外者、傍観者なのだから、代わり映えする必要がない。
「じゃ、さっさと済ませてしまおう。三階に、場を用意しているから」
「場?」
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:43:48.72 ID:ooW4dNWwo
「言ったろ?相手は神様なんだよ。そこにいるだけ、何もしていない。当たり前だから、そ
こにいるだけ。阿良々木君だって、学校が終われば家に帰るだろう?そういうこと。勝手に
お嬢ちゃんが、揺らいでいるだけなのさ」
障らない、襲わない。
憑かない。
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:45:00.48 ID:ooW4dNWwo
「あの」
意を決したような口調で、ひたぎちゃんが言った。
「あの蟹は――今も私のそばにいますか?」
「そう。そこにいるし、どこにでもいる。ただし、ここに降りてきてもらうためには――手
順が必要だけどね」
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2011/07/30(土) 10:47:06.34 ID:ooW4dNWwo
身が竦む。
自然、構えてしまう。
僕自身は無宗教、神道も仏教も、区別がつかない最近の若いやつだけれど、しかしそれで
も、こういう状況そのものに、反応する、本能的な何かが、心の中にある。
状況。
53:すごいな。NGワードは自動で消されるのか……人識の決め台詞とかどうなるんだろう
2011/07/30(土) 10:49:52.07 ID:ooW4dNWwo
「もちろんただとは言わないわ」
「何かくれるの?」
「物理的な報酬を求めるとは、浅ましい。その情けない言葉一つに、あなたの人間性の全て
が集約されているよいっても過言ではないわね」
絶対に過言だ。
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:51:46.49 ID:ooW4dNWwo
忍野は供物のうちからお神酒を手にとって、それをひたぎちゃんに手渡した。
「え……なんですか?」
戸惑った風のひたぎちゃん。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる――そうだよ。ま、ちょっと気を楽に
してってくらいの意味で」
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:52:48.11 ID:ooW4dNWwo
言うならば暗示に近い。
催眠暗示。
不快になるほどのそれらしさ。
まず自意識を取っ払い、警戒心を緩め、そして、忍野との間に信頼関係を生じさせること
――それは、やり方は全然違えど、僕や翼ちゃんのときにも、必要だったことだ。信じる者
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:53:45.67 ID:ooW4dNWwo
「落ち着いた?」
「――はい」
「そう――じゃあ、質問に答えてみよう。きみは、僕の質問に、答えることにした。お嬢ち
ゃん、きみの名前は?」
「戦場ヶ原ひたぎ」
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2011/07/30(土) 10:54:25.86 ID:ooW4dNWwo
「一番好きな小説家は?」
「夢野久作」
「子供の頃の失敗談を聞かせてくれる?」
「言いたくありません」
「好きな古典音楽は?」
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