過去ログ - マインドスイーパー
1- 20
58:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:22:53.79 ID:CGXDMCHp0
壁のスピーカーから彼女の声が聞こえる。
圭介は、壁に取り付けられたミキサー機のような巨大な機械の前に腰を下ろすと、そのマイクに向けて口を開いた。

「説明したとおり、その患者は普通の患者じゃない。重度のアルツハイマー型痴呆症にかかってる。普通の人間と精神構造が違うから、注意してくれ」

以下略



59:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:23:57.94 ID:CGXDMCHp0
 *
 
汀は、古い日本家屋の中に立っていた。
床に、立っていた。

以下略



60:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:24:36.11 ID:CGXDMCHp0
「ダイブ完了。でも、良くわかんない」

『分からないってどういうことだ?』

「煉獄に繋がる通路じゃないみたい。トラウマでもないし。普通の、通常心理壁の中みたいだよ」
以下略



61:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:25:31.61 ID:CGXDMCHp0
「訂正。通常心理壁じゃない。ここ、異常変質心理壁だ。H型だね」

『知ってる。そこから出れるか?』

「何で知ってるの?」
以下略



62:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:26:30.67 ID:CGXDMCHp0
上下がさかさまになった空間の外で、下から上に、血の雨が降っている。
それは途端に土砂降りになると、たちまちゴーッという耳鳴りのようなスコールに変わった。
汀の頭の上で、床下浸水したかのように、溜まった生臭い血液が、家屋の中に進入してくる。
狭い部屋の中、血液の波は一気にタンスやテレビを飲み込んだ。
テレビの電源が勝手につき、そこからけたたましい笑い声……男性の、引きつった痙攣しているような声が響き渡る。
以下略



63:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:27:46.46 ID:CGXDMCHp0
 *
 
気づいた時、彼女は一面の花畑の中に横たわっていた。

「……ゲホッ、ゲホッ!」
以下略



64:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:28:37.91 ID:CGXDMCHp0
『汀、何があった!』

「大丈夫! 何でもない!」

悲鳴のように答えると、彼女は近くの薔薇の茂みに飛び込んだ。
以下略



65:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:29:17.05 ID:CGXDMCHp0
 *
 
病院服も破り取られ半裸で、体中に切り傷をつけた状態で、汀は高速道路に横たわっていた。
のろのろと起き上がり、空を見上げる。
曇り空で、黒い雲があたりに広がっている。
以下略



66:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:29:51.72 ID:CGXDMCHp0
汀は、したたかにコンクリートに打ち付けた頭から血を流しながら、ぼんやりと目を開いた。
そして、はねられた後だというのに、のろのろと起き上がる。
腕と足が異様な方向に曲がっており、満身創痍にも程があると言った具合だった。
トラックの運転席には、誰もいない。
今は停まっているそれを見て、彼女はゆっくりと振り返った。
以下略



67:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:30:34.50 ID:CGXDMCHp0
汀は、男に向けてズルリと足を引きずった。
あたりに豪雨がとどろき渡る。
汀は、男の前に時間をかけて移動すると、その焦点の合わない瞳を見上げた。
そしてさびしそうに口を開く。

以下略



68:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:31:13.91 ID:CGXDMCHp0
 *
 
「三島寛治。六十九歳。高速道路で、車から転落。その後、病院に運ばれるも、家族に宗教上の理由で輸血を拒否され、十分な治療が出来ずに体に麻痺が残る。後にアルツハイマー型痴呆症の悪化と自殺病を併発……か」

大河内は資料を読み上げ、それを圭介に放った。
以下略



178Res/185.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice