942:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:53:17.43 ID:NNs5Kzip0
「でもまぁ、そこであたしが止めないとね。
際限なくなっちゃうから」
「そこがわかんないんだ」
943:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:54:04.59 ID:NNs5Kzip0
「…………」
「静かに暮らしたいんなら、
兄さんと一緒にいることないんじゃないかな。
兄さんは……何ていうか、
944:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:54:56.05 ID:NNs5Kzip0
真正面で見ていた硲でさえも、
それがどういう表情なのか分からない、
憂いを含んだ表情だった。
「約束したからさ。兄さんは、あたしが守らないと」
945:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:55:43.43 ID:NNs5Kzip0
「え?」
「僕のことが信用できないから、
何か隠してるの?
だから兄さんの言いなりになってるの?」
946:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:56:22.63 ID:NNs5Kzip0
子供扱いされ、硲の頭にカッ、と血が昇る。
彼は立ち上がって、大股で涙に近づいた。
そして、自分よりも一回り小さな彼女の頭を
947:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:57:03.62 ID:NNs5Kzip0
いきなり図星を突かれて、
硲はグッ、と言葉に詰まった。
発しかけた言葉を躊躇して飲み込んだ硲を見て、
涙は頬から手を離し、肩をすくめた。
948:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:57:51.48 ID:NNs5Kzip0
「男が一番やっちゃいけないことだよ。
あんたに何があって、どういう人生送ってきたのか、
話してくれないからあたしは良く知らない。
でも、何となくそういうのは勘で分かるんだよ」
949:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:58:32.81 ID:NNs5Kzip0
「いい? 断言してもいいよ。
あんたは、あたしを誰かと勘違いしてる。
兄さんもそうだった。
でもね、兄さんはその段階を自分で克服したんだ。
だからあたしと接していられる」
950:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:59:09.50 ID:NNs5Kzip0
「そんな……僕は……僕はただ……」
「まぁ、ようは焦るなって言いたいだけ。
自分がこうしたいから、
相手もこうするだろうっていうのは、
951:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 22:59:44.03 ID:NNs5Kzip0
「あ……」
ポカンと口をあけて、愛寡がそこに立っていた。
彼女は、口元に手を当てて、
952:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/05/04(金) 23:00:13.96 ID:NNs5Kzip0
その後ろから、チョコチョコと更紗が、
小さく震えながらついてくる。
「寒いです……お腹も空きました……」
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。