過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
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2:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:02:31.06 ID:WO2eriwB0
俺が、トレーナーになったのは本当に偶然の成り行き上のことだった。
大学で精神医学を専攻していた時に知り合った教授の関係で紹介された仕事。
正確に言うと軍事関連の仕事だった、それは。
3:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:03:40.28 ID:WO2eriwB0
そこには性別なんて関係ないし、
生まれてくる人間は皆一様にホスピタルという機械施設が故郷だ。
恋愛、そんな過去の文献にしか乗っていないような古ぼけた人間の非合理的感情なんて、
今ではカビが生えたものとしか思われていないし、実際俺もそう思っていた。
4:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:04:44.18 ID:WO2eriwB0
だから、トレーナーは恋愛代行者と呼ばれているのだろう。
およそ三百年程前に比べれば、この世界は驚くほど機械に支配されたと、
古いコンピューターの情報はそう言う。
5:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:05:35.92 ID:WO2eriwB0
不思議なことにこの仕事は、
俺の大学での専攻の路線上だったこともあり特に抵抗はなかった。
周囲はそれを「適正アリ」ととったらしい。
6:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:06:24.18 ID:WO2eriwB0
*
いつの頃からだったか、誰がそう呼び始めたのかは分からない。
それは、『死星獣』と呼ばれていた。
7:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:08:15.34 ID:WO2eriwB0
そしてそれら異形のモノは、全て全く別の外見特徴を有していた。
たった一つだけ合致すること。
それは人間を殺すということ。
8:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:09:31.34 ID:WO2eriwB0
どちらにせよ、それは人間を襲ってきた。
明確な理由が分からないまま、
たったの数ヶ月で人類の総人口は約五十分の一まで低下していた。
9:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:10:23.03 ID:WO2eriwB0
*
絆(キズナ)は、大きく息を吸ってビルの下を見つめた。
何処までも広がるビル、ビル、ビル。
10:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:12:50.51 ID:WO2eriwB0
──ここは、戦場だ。
それも絶望的なまでの。
人間には恐怖と、圧倒的な駆逐感が与えられる場所。
11:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:13:42.51 ID:WO2eriwB0
『了解した。幸運を祈る』
押し殺した声の応答と共に、一方的に無線が切られる。
そして市街地の上空を飛び回っていた細身の戦闘機が六機、
12:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:14:37.95 ID:WO2eriwB0
(新兵が無茶を……)
心の奥で舌打ちをして、強く歯を噛む。
離脱して欲しいと言ったのは相手を気遣ってのことではない。
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