過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
↓ 1- 覧 板 20
13:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:15:42.23 ID:WO2eriwB0
そう思った時、霧のように砂煙が晴れた。
そして瓦礫と化したビル群の合間を滑るようにして異形の物体がゆっくりとその体躯を表す。
死星獣だった。
14:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:16:44.11 ID:WO2eriwB0
攻撃による損傷はカケラも見られない。
それにも増して異様なのは、その巨大なアメーバが七色の、
虹の色をしていることだった。
15:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:17:35.91 ID:WO2eriwB0
「離脱してください!」
殆ど叫ぶように、絆は無線に向かって怒鳴っていた。
数秒間の間をおいて、かすかな歯軋りの音と共に
16:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:18:34.69 ID:WO2eriwB0
ただ先ほどの戦闘機のように、静かに、
ゆっくりと灰になって空気に散っていくだけだったのだから。
ナメクジが通った後はそれが分泌する粘液が残される。
17:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:19:28.52 ID:WO2eriwB0
しかし他に、広いそのスペースを半分以上も覆い隠す機械が設置されていた。
まるで象のような白い流線型のフォルムを太陽に光に煌かせている。
外見的には戦車に近い。
18:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:20:46.03 ID:WO2eriwB0
絆は息を吸うと巨大な砲身を登り、
少女が入っている部屋を覆うクリア素材を指先で軽く弾いた。
途端に音叉を叩いたかのような静かな音色が反響し、女の子は目を開けた。
19:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:21:34.37 ID:WO2eriwB0
『帰ったら……』
「……ああ」
微笑む彼女に対し、俺は頷いてみせた。
20:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:24:01.82 ID:WO2eriwB0
<チャンバー内、規定加圧クリア。
エネルギー抽出ゲイン全てオールライン。バーストを開始できます>
壁のスピーカーから管理AI、つまり機械の音声が、
現在二人が乗っている機動戦車『月光王』の状態を告げる。
21:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:25:04.03 ID:WO2eriwB0
それに応じてスピーカーから流れてくる彼女の吐息が苦しそうに荒くなる。
なるべくそれを聞かないようにして、絆は迫り来る死星獣をにらみつけた。
エネルギーを示す計器の一つに設置されているメーターが物凄い勢いで満杯になっていく。
22:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:25:54.51 ID:WO2eriwB0
<最適化完了。撃てます>
淡白な声。
機械の声。
23:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:27:08.99 ID:WO2eriwB0
*
青年は大きく息を吐いて、顔を両手で覆った。
張り詰めていた緊張が一気に抜けてしまっていた。
1002Res/558.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。