過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
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38:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:51:59.79 ID:WO2eriwB0
「あの子の名前、何と言いましたか?」
聞かれたことに、意外そうに青年は視線を彼女に向けた。
「型番ですか?」
39:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:53:02.53 ID:WO2eriwB0
「変だとは思いませんよ。
あなたみたいにバーリェに対して一生懸命なトレーナーさんは久しぶりに見るもので」
軽く微笑して、看護婦は眠っている少女の方を向いた。
40:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:55:29.11 ID:WO2eriwB0
「おかしな話をしてしまいましたね。
この子、検査が終わり次第連れて帰っていただいて大丈夫らしいので、
今日の午後中にはそちらのラボに送れると思います」
「色々とどうも」
41:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:56:12.19 ID:WO2eriwB0
「おい、雪。起きてるか?」
静かに問いかけても答えはない。
もう一度額をつつくと、僅かに呻き声をあげて少女が目を開けた。
42:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:58:12.67 ID:WO2eriwB0
「あ……おはよう絆」
「おはよう。どこか痛い所はあるか?」
小さく咳き込んだ後に、少女が首を振る。
43:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:58:48.13 ID:WO2eriwB0
きょとんとしながら問いかけられて、絆の心がズキンと痛んだ。
まるで誰かに握り締められているかのように、声が詰まる。
毎回のことだ。
44:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:00:43.53 ID:WO2eriwB0
「あ……」
「……忘れてた。アイス持ってきたんだ。食うか?」
「うん」
45:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:01:30.65 ID:WO2eriwB0
囁くように呼びかけられて、アイスの欠片が乗ったスプーンを差し出される。
「口開けて」
青年は僅かに息を呑んで、数秒間だけ視線を逸らした。
46:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:02:45.46 ID:WO2eriwB0
*
結局それから病室を出たのは二時間ほど後のことだった。
取りとめのない話をして、ここまで。
47:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:03:31.93 ID:WO2eriwB0
それとなく周囲を見回してみると、軍服を着た警備の兵士が、三人。
不快そうな顔でこちらを見ている。
自分たちではない。幼い少女のことをだ。
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