過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
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42:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:58:12.67 ID:WO2eriwB0
「あ……おはよう絆」
「おはよう。どこか痛い所はあるか?」
小さく咳き込んだ後に、少女が首を振る。
43:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:58:48.13 ID:WO2eriwB0
きょとんとしながら問いかけられて、絆の心がズキンと痛んだ。
まるで誰かに握り締められているかのように、声が詰まる。
毎回のことだ。
44:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:00:43.53 ID:WO2eriwB0
「あ……」
「……忘れてた。アイス持ってきたんだ。食うか?」
「うん」
45:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:01:30.65 ID:WO2eriwB0
囁くように呼びかけられて、アイスの欠片が乗ったスプーンを差し出される。
「口開けて」
青年は僅かに息を呑んで、数秒間だけ視線を逸らした。
46:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:02:45.46 ID:WO2eriwB0
*
結局それから病室を出たのは二時間ほど後のことだった。
取りとめのない話をして、ここまで。
47:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:03:31.93 ID:WO2eriwB0
それとなく周囲を見回してみると、軍服を着た警備の兵士が、三人。
不快そうな顔でこちらを見ている。
自分たちではない。幼い少女のことをだ。
48:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:06:15.14 ID:WO2eriwB0
僅かに肩を落としながら夕日を背に公道に出る。
そこでタクシーを一台つかまえ、絆は絃に向かって口を開いた。
「悪かったな。わざわざ来てもらって」
49:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:07:25.32 ID:WO2eriwB0
あからさまにガッカリした表情になった少女の頭をポンポンと撫で、
絃が豪快に笑った。
「そう膨れるな。帰りにラボの皆にも、俺とおみやげを買っていってやろう」
50:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:08:10.70 ID:WO2eriwB0
小さく笑ってタクシーに乗り込むスーツの男。
自動で窓が開き、彼は軽く手を振った。
「じゃ、お前さんのファミリーはラボに全員送っとくよ。
51:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 22:09:14.25 ID:WO2eriwB0
*
元老院。それはこの世界が統合政府により支配されてから存在している組織だった。
政府全般に渡っての強力な発言力を持つ機関。
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