過去ログ - 織莉子「私の世界を守るために」
1- 20
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:52:16.33 ID:D+xZ8dty0
「はいはい、おしゃべりはそこまで!……さ、入ってらっしゃい」

 教師の呼びかけに応じ、教室のドアがスライドする。強化された視覚が、白く細い指を見て取った。ああ、女の人か。巴マミは思った。
 入ってきたのは、当に麗人としか形容の出来ない人物だった。
 若草色の瞳、長い睫、眉、鼻の形、薄桜色の唇、若干紅の差した頬、顎のライン、細い首筋。ウェーブがかったシルバーブロンドの髪をサイドテール。全てが調和し、また全てのパーツの一つ一つがあまりにもパーフェクトだった。身体にしても、全体のラインは無駄な贅肉が無いのかとても細いにも関わらず、二次性徴を迎えた彼女の身体は女性らしさの権化とも言える豊満さを持っていた。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:53:43.76 ID:D+xZ8dty0
「静かになさい!」

 教師の一喝で、水が挿したように教室内が静まり返る。
 ごほん、と咳払いして教師は続けた。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:55:28.63 ID:D+xZ8dty0
「先生、私の席はどこでしょうか……?」

 場の空気にすっかり中てられ何も言えずにいる教師に、織莉子は問う。慈母のように柔らかな笑みを湛えて。

「え、ええ。えっと、最後列の左端ね。黒板から遠くて不便があるかもしれないけれど……」
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:56:24.29 ID:D+xZ8dty0
 巴マミは、魔法少女だ。
 人に害を為す「魔女」と呼ばれる怪物を倒し、人々に希望を振り撒く夢のような存在、それが魔法少女だった。
 だが現実の魔法少女と言うものは、そんな夢に満ちたものでもなければ言葉の響きのように甘美な存在でもなかった。
 魔法少女は魔翌力を行使すると、魔翌力の源たる「ソウルジェム」を曇らせる。そしてそれが曇り切った時、彼女らは魔法が使えなくなってしまう。そんなジェムの魔翌力を補充するのが「グリーフ・シード<絶望の種>」だ。グリーフ・シードは魔女が倒れた際に時折いくつか落とす事がある「魔女の卵」で、本来ならば即刻廃棄するべき危険物と言うべき代物だが、それはソウルジェムに蓄積された曇り――穢れを吸い取って、再び魔翌力の行使を可能とする「回復アイテム」としての側面もあった。
 だがこのグリーフ・シードこそが、マミの頭を悩ませる「種」だった。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:57:42.71 ID:D+xZ8dty0
 廊下の、ちょうど人通りのない場所で、美国織莉子は言った。

「屋上まで連れて行って欲しいの」

「何か用事が?」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:58:35.35 ID:D+xZ8dty0
「寂しかったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 ぼふんっ、と柔らかな音を立てて、その物体は美国織莉子の胸の谷間へと収まった。恐らくはほとんどの男性諸氏がそうしたくなる豊満な胸へと、その少女は盛大に顔を埋めたのだった。

「あ、あ、あ!やっぱり織莉子はイイ匂いだ!何度嗅いだってイイ匂いだ!あぁぁ……織莉子ぉ、イイよ、イイよぉ……」
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 16:59:48.15 ID:D+xZ8dty0
「ごちそうさまでした!」

「お粗末さまでした」

「……ごちそうさまでした」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 17:03:39.87 ID:D+xZ8dty0
「へぇ、美国織莉子。きみの得た能力と言うのは未来予知だったんだね?」

 どこからともなく現れた、白い獣。つややかな毛並みと、赤い瞳。長い耳毛と、その中腹辺りに浮かぶ光輪。口が全く動いていないにも関わらず声を発することが出来るのは、意思疎通の手段として恒常的にテレパスを用いているからかもしれない。

「キュウべえ!」
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)
2012/04/24(火) 17:04:37.61 ID:D+xZ8dty0
「授業は良いのかい、マミ?」

 そんな言葉も聞こえない。未だ信用するべき相手ではない、それは分かっている。だというのに、どうしてここまで、彼女の声が頭に響いて離れないのだろう。
 その日の午後、巴マミは生まれて初めて授業に遅刻した。


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]
2012/04/24(火) 17:10:39.08 ID:D+xZ8dty0
以上第一回
お話としては第一話前半にあたります

タイトルの通り、そしてこれから何度も出てくるフレーズになるでしょうが、これは「美国織莉子の物語」です
試みとしては、ラスボス属性取り払って主人公属性を新しく付け直した感じ
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]
2012/04/24(火) 17:43:20.42 ID:8EY3y32AO

これからどうなるか楽しみ


110Res/177.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice