1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 21:42:57.57 ID:PySxbYPJ0
2012年8月19日、1040航空402便は、定刻どおり離陸。順調に行けば5時間で目的地、羽田空港まで到着するはずだった。
しかし、402便は着陸しなかった。いや、出来るわけがなかった。どうしてか? 理由は簡単、そのまま消えてしまったから。墜落した証拠も何も無く、飛行機ごとどこかへ消えてしまった。まるでイリュージョンのように。
それから10年……。俺は相も変わらず765プロでプロデューサーをしていた。
小鳥「プロデューサーさん、もうすぐあの日ですね」
P「そうですね。……あれから、もう10年なんですね」
過ぎ去りし日々を思い返す。10年前、俺たちは輝いていた。アイドルだけじゃなく、プロデューサーである俺も、事務員の小鳥さんも、社長だって。
でもそれは昔の話。俺たちはある日を境にバラバラになったんだから。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 21:50:43.29 ID:z/IdN2wF0
乗客、乗組員35人を乗せたまま、402便は消息を絶った。その35名の中に、かつてうちに所属していたアイドルも数人いた。
高槻やよい、双海亜美、秋月律子、菊地真、我那覇響、そして天海春香。
本来なら美希がこの便に乗って、俺と春香は仕事の関係で一緒に帰るはずだったが、打ち合わせで先に帰る俺に着いて行く! と言って聞かなかった美希は春香と交代する形で1つ便をずらしたため、俺たち2人は難を逃れることが出来た。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 21:55:10.26 ID:z/IdN2wF0
美希「あっ、プロデューサー……。これ、目を通しておいてください」
あの事件以来、ハニーと呼んでべったりくっついて来ていた美希は俺と距離を取るようになった。自分だけが帰って来たこと、それが負い目になっているのだろう。プロデューサーと呼び方を戻したことによく表れている。
事故後休養していたが、しばらくしてアイドル活動に復帰したものの、モチベーションの低下もあり、人気は急降下、今は派手な金髪を黒に戻し、うちで事務員として働いている。アイドルとして無限の可能性を秘めていた彼女だが、事務員としてもそれなりに優秀だ。天性の要領の良さを持っているんだろう。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 21:57:40.72 ID:z/IdN2wF0
402便の事故を担当した調査委員会の見解によると、事故の原因は急速に発達した積乱雲を避けきれず、ダウンバーストに巻き込まれて海面に叩きつけられた、そう結論を下した。しかし、懸命な捜査にもかかわらず、何一つ見つからず、捜査は早くに打ち切られた。
しかし、そんな中1人の量子物理学者がおかしな自説を振りかざしていた。402便が地球を横切るマイクロブラックホールに吸い込まれ、時空を超えて10年後の2012年8月19日に帰ってくると。
そんな馬鹿げた学説が支持されるわけもなく、その学者は教授の座を追われたと聞いている。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:02:09.59 ID:z/IdN2wF0
小鳥「へ? 何かしらこの書き込み……」
P「どうしました、小鳥さん。また婚活サイトとか見てませんよね?」
小鳥「し、してませんよ! これです、うちのHPの掲示板に書き込まれているんですよ。全く、たちの悪い悪戯でしょうか?」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:04:23.07 ID:z/IdN2wF0
社長「君たちもそれを見ていたのか」
P「社長! もしかして書き込みを?」
社長「ああ。ネットの書き込みだから信憑性は薄いんだが、なんとなく何かが起きそうな気がしてね……」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:06:34.74 ID:z/IdN2wF0
P「結局来ちゃったな……」
2日後、俺は羽田空港に来ていた。信じたわけじゃないが、もし本当に帰ってくるなら……。そんな淡い期待を込めて。
??「あれ? 兄……、プロデューサー?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/04/27(金) 22:08:27.24 ID:whmd9rMQ0
元ネタ とかあるかは知らんが期待
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:08:50.91 ID:z/IdN2wF0
真美「兄……、プロデューサーもさ、ネットの掲示板を見てきたの?」
中身はまだまだ子供だけど。
P「ああ、ご丁寧にうちのHPに書き込まれてたよ」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:12:37.34 ID:z/IdN2wF0
>>8 元ネタはドラマ
真美「みんなー! 兄ちゃん連れてきたよ!」
P「ハァ……、ハァ……。兄ちゃんに戻ってるぞ?」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:16:32.45 ID:z/IdN2wF0
伊織「そうなんだけど、アイツはどうしたの?」
周りを見渡して、伊織が尋ねる。
P「アイツって美希か? 美希はまだ来にくいんだとさ。事務所で仕事しているよ」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:18:32.54 ID:z/IdN2wF0
そして、運命の瞬間がやって来た。
あずさ「あれ? あれはなんでしょうか?」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:21:07.28 ID:z/IdN2wF0
貴音「どうしてとは、なかなか悲しいことを言いますね。理由は決まってます、そうでしょう?」
芝居をしているかのようにオーバーな物言いだ。
貴音「帰ってくる同胞を迎えに来てどこかおかしなことはあるでしょうか? ねえ、如月千早」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:23:02.71 ID:z/IdN2wF0
??「いたた……。機内でもこけるって……。でも無事着陸成功なのかな? ってあれ?」
最初に降りてきたのは、2つのリボンが目を引く少女。いつも前向きで、何もないところでこけて、個性がないことに悩んだりする、誰もが愛したアイドル。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:24:43.90 ID:z/IdN2wF0
貴音「何か気付くことはありませんか、天海春香?」
ふてくされる春香に貴音が声をかける。
春香「何かって? ってあれ? 真美ってこんな大きかったっけ? それにプロデューサーさんも妙にダンディだし……。あれ、なんでだろ?」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:27:26.42 ID:z/IdN2wF0
貴音「あなた方は、10年の時を経て羽田へと帰ってきました。これはまさしく奇跡としか言いようがありません」
やよい「どういう意味ですか?」
意味が分からないと言った顔をするやよい。そりゃそうだろう、俺だって急にこんなことを言われたら理解が追いつかない。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:29:45.98 ID:z/IdN2wF0
それぞれが事実を受け入れれたかは分からないが、10年ぶりの再会に涙する遺族達。そんな中――
響「ええ!? にぃにぃと結婚!?」
あずさ「黙っててごめんなさい……」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:35:33.91 ID:z/IdN2wF0
春香「あ、あの……。プロデューサーさん、美希はいないんですか?」
響のほうを見ていると、後ろから春香が声をかけてきた。声にさっきほどの怒りは感じず、少しだけホッとする。
P「アイツは仕事中だ」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:43:07.50 ID:z/IdN2wF0
貴音「さて、説明に移ります前に、1つ心の準備をお願いします」
P「心の準備? どういうことだ?」
ただ事ではない口ぶりに、部屋に集まった乗客、遺族達がざわめきだす。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:47:15.31 ID:z/IdN2wF0
貴音「ところで、402便は消失する前に大きな揺れに襲われたと聞いています」
やよい「すっごく怖かったです! 死ぬかと思いました」
亜美「やよいっち高いの苦手だもんね→」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/27(金) 22:49:35.75 ID:z/IdN2wF0
貴音「あなた方が体験した急激な揺れは、402便が時間軸のねじれに吸い込まれ、吐き出されたからなんです」
それは突拍子もない事実。時間軸のねじれ? 空想科学の話じゃないのか?
貴音「飛行機が、何らかの理由で光の速度に限りなく近い速さまで加速すれば、飛行機の中で1時間経つ間に、外では10年経つ、と言うのは一応説明可能です」
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