過去ログ - 青子「……」有珠「……ひどい」草十郎「……ごめん」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/05(土) 01:13:45.39 ID:PwLoTL370



 排出物のにおいと、男の体臭がないまぜになったすさまじいほどの悪臭が、地下室に重く澱んでいた。
 眼を閉じたところで、その臭いを忘れることはできない。
 忘れることはできないが、いくらかでも耐え易くはなるようだった。



 しかし、彼――草十郎が、壁に背をもたせかけ、眼を閉じて座しているのは、決して悪臭に耐えるためではなかった。
 それは、山奥で育てられた彼の、一種の習性のようなものであった。
 実際、屎尿桶のアンモニア臭も、耐えなければならないというほどには気にならなかった。
 耐えるということを言うなら、草十郎は生まれてこの方それ以上は考えられないほどの峻烈な運命に耐えてきたし
 その運命はこれからも耐え続けていくことを彼に要求しているのだ。
 いまさら、地下室の饐えたの臭気ぐらいのことで、なにを耐えなければならないと言うのか。
 まあ、彼にはそんな自覚は露ほどもないのだが――――。



 ――運命、か……。
 草十郎のかさついた唇にフッと苦笑が浮かんだ。
 運命とは聞こえのいい言葉だ。
 なにか崇高で、悲劇的な響きさえ含んでいる。
 実際には、それは、運命というより、むしろ体質と呼んだ方が相応しいようなことなのだが。


 ――人間というやつは、自分を言葉で飾りたてずにはいられない動物らしい。
 草十郎の苦笑は、ますます皮肉な、歪んだものになった。



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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:16:26.95 ID:PwLoTL370




 ふいに声がかかった。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)
2012/05/05(土) 01:20:25.35 ID:fPNedwEQ0
いやん


4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:21:13.74 ID:PwLoTL370





以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:28:36.76 ID:PwLoTL370



 本当に、……をする必要があるのだろうか、
 という疑問を……。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]
2012/05/05(土) 01:34:54.04 ID:iz/FYfBAO
なにげにクオリティが高いww


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:37:32.54 ID:PwLoTL370

 短い拘束期間ではあったが、やはり地下室の暗がりに慣れた眼には、五月の陽ざしは眩しすぎるようだった。
 緑がむせかえるように濃くなっていて、葉をそよがせる風が、ひどく爽やかだ。
 階段を上がりリビングに出た草十郎は、開けられた窓の所でしばらくその風に身をさらしていた。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/05(土) 01:40:24.18 ID:aOX5uCcg0
マジで支援するっス
つーかマイ天使が出てくるだけで評価に値することは最早周知の事実っス


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:44:08.52 ID:PwLoTL370

「地下室はどうだった?」



以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 01:51:30.87 ID:PwLoTL370



「蒼崎。やはりきみが手を回したのか」

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 02:00:14.73 ID:PwLoTL370

「私がなにか飲みたいのよ……ねえ、いいでしょ?」


 小さなテトレーの茶缶だ。もうお湯をやっているらしく、温かな湯気が立ち昇っている。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 02:06:52.56 ID:PwLoTL370

 青子は小さなため息をつくと、


「実はね。私、唯架からあなたを自由にしてくれ、と頼まれたの……」
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 02:09:26.89 ID:PwLoTL370
今晩のところはこれでお終い。
あまり長くなるつもりはないので、気軽に病んでください。
いや読んでください。

続きはまた後日。


14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2012/05/05(土) 02:15:15.72 ID:3Rq0dpTx0
病むのか


15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
2012/05/05(土) 07:17:33.15 ID:zm7ufHfo0
どういうことだってばよ・・・、この状況


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 15:32:24.42 ID:PwLoTL370
夜にまた更新します。


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:09:02.16 ID:PwLoTL370

 静希草十郎は丘の上の幽霊屋敷に住んでいる。
 当初は、アパートで一人暮らし。
 四畳半の部屋を借りて、一人で生活しているのである。

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:15:43.12 ID:PwLoTL370

 そこで草十郎の遊興は、バイトをする傍らたまの間食がマイブームとなっている。
 草十郎には希望もなければ、身を託すべき理想もない。
 無頼の生活を送っていると言えたろう……だが、山奥の独覚として生を享けた草十郎には、他のどんな生を選ぶこともできなかったのだ。
 暗い眼、鋭く削げた頬、一直線に結ばれた生気のない唇――ある意味では、草十郎のいかにも虚無的な風貌は
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:25:29.25 ID:PwLoTL370

「まっどべあへは、どんなご用で来られたのですか」


 お茶を入れながら、草十郎が訊く。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:44:48.37 ID:PwLoTL370

「…………」


 草十郎は沈黙した。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/05(土) 19:47:30.11 ID:PwLoTL370

「死んでいった人間のことを考えています」


 反射的に草十郎はそう答えていた。
以下略



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