過去ログ - 貴音「Herpete」 
1- 20
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:25:49.07 ID:B8whUwhOo
ずるずると身を引きずりながらエレベーターを使おうと手を伸ばすと、
「あ、待って待って!」と感心するほど元気な声で少女が駆け込んできました。

「おはようございます。春香殿」

以下略



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:26:24.32 ID:B8whUwhOo
事務所の中は氷室のように涼しく、春香殿と二人で同時に息をつきました。

えあこん、と言うそうです。

瞠目すべきは人間の科学で、彼らは夏の暑さをも捻じ伏せてしまいました。
以下略



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:26:56.40 ID:B8whUwhOo
「おはよう貴音ちゃん。……近眼なの?」

「おや、おはようございます。小鳥嬢。えぇ、あまり良いとは言えません」

不自然でない程度に驚いてから挨拶をしました。
以下略



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:27:22.27 ID:B8whUwhOo
しかしそうとなると、何をすればいいのかわからず困惑してしまいました。

山ではこういうとき川で涼んだり木に巻きついたりしておりましたが、人の姿では時間を持て余してしまいます。

それに―――堕落したようで気恥ずかしいのですが―――
以下略



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:27:51.30 ID:B8whUwhOo
ソファーに座り眼を閉じていますと、鈴の音のような声が聞こえました。

「おはようございます四条さん。お茶が入りましたよ」

白いワンピースに栗色の髪が涼しげな少女―――萩原雪歩殿がお盆を持って微笑みながら歩み寄ってきました。
以下略



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:28:24.20 ID:B8whUwhOo
「私、これくらいしか取り柄がありませんから……」

「雪歩殿……?」

謙遜しすぎるのは彼女の悪癖ですが、うつむきがちな表情は卑下の色が濃く出ていました。
以下略



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:28:51.07 ID:B8whUwhOo
ぼんやりと蝉の声に耳を傾けて座っておりますと、一人、また一人と減っていきました。

私と同様にれっすんをするはずだった者は連絡を受けているのか初めから来ておりません。

萩原雪歩殿を除いては。
以下略



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:29:16.79 ID:B8whUwhOo
「……なにかあったのですか?」

「…………」

この沈黙は肯定と同義でしょう。
以下略



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:29:51.36 ID:B8whUwhOo
「そ、そういう訳じゃないですぅ……」

「ならば精進されなさい。失態を憂いているだけではなにも変わりませんよ」

「うぅ……」
以下略



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:30:50.26 ID:B8whUwhOo
真夏の日はしつこく粘り部屋を橙色に塗り替えてきます。

夕方になっても鳴き続けている蝉は朝と同じ蝉なのでしょうか。

仕切りの影に隠れながらそんなことを思いました。
以下略



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/24(火) 21:31:43.52 ID:B8whUwhOo
受話器を置きますと、すぐにまたどこかへ掛けなおしています。

「あ、プロデューサーさんですか? 私です、音無です。雪歩ちゃんがまだ家に帰っていないそうで……」

なにがあったという訳でもなし、何故ここまで心配しているのでしょうか。
以下略



85Res/41.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice