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2013/01/25(金) 23:20:39.58 ID:7rNmoFO0o
それから僕は改めて理恵の質問について考えた。僕は今でも亡くなった玲菜のことが気
になっているのだろうか。答えはイエスでもありノーでもある。僕が生前の玲菜に惹かれ
ていたことは間違いない。それは自分でもはっきりと意識していた。別にそれは最後に会
ったときやメールをもらったときの彼女の告白めいたセリフのせいばかりではなく、玲菜
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2013/01/25(金) 23:22:42.28 ID:7rNmoFO0o
実際にそうとしか考えられなかったから僕はそう理恵に言った。いっそ麻季の口から鈴
木先輩と暮らしたいのと正直に言われた方がよかった。彼女がはっきりとそう言ってくれ
たら僕は麻季の要求どおりに彼女を自由にしたと思う。それなのに麻季は正直に告白する
のではなく、僕のことを誹謗中傷することを選んだのだ。
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2013/01/25(金) 23:23:10.35 ID:7rNmoFO0o
理恵を送り届けてから実家に戻ったときはもう夜中の二時過ぎになっていた。
支払いを済ませて実家のドアの鍵をそうっと開けて家に入ると、すぐに唯が姿を見せた。
877:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:23:44.77 ID:7rNmoFO0o
翌日の午前中、理恵から電話があった。
奈緒人と奈緒が並んで寝ている実家の和室に横になったのが夜中の四時前で、起床した
のが朝の六時だった。奈緒人と奈緒と一緒に寝るのは心が安らいだけど、同じ部屋で唯ま
878:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:24:17.22 ID:7rNmoFO0o
クローバーに入るのは玲菜と会って以来だった。小さいとはいえ編集部を任された僕は
以前より外で打ち合わせをする機会が減っていたのだ。
「博人君。ここだよ」
879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:25:01.05 ID:7rNmoFO0o
店内には簡単な昼食をとる客に混じって、打ち合わせをしている顔見知りも結構いるよ
うだ。こんな環境で僕はサンドウィッチを放置して理恵にプロポーズした。
理恵はと言えば口に中からハムとマヨネーズが溢れ出して、すぐには返事どころではな
880:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:25:40.22 ID:7rNmoFO0o
その後の展開は早かった。僕は久し振りに会う理恵のご両親に挨拶に行った。お嬢さん
と結婚させてくださいとか言わせてもらうことすらできず、久し振りねえとか元気だった
かとか理恵の両親から僕は言葉をかけられた。本当に懐かしく思ってくれていたみたいだ
った。質問攻めに懐かしいながらも当惑していた僕を見かねて、僕と理恵の結婚には賛成
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2013/01/25(金) 23:26:11.31 ID:7rNmoFO0o
「理恵さん?」
不審に思ったのだろう。唯が理恵に話しかけた。
882:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:26:48.54 ID:7rNmoFO0o
「驚いた。奈緒ちゃんって玲菜さんにそっくりじゃない」
理恵を連れて実家の近所の自然公園内を散策していたとき、理恵がそう言った。そんな
ことだろうと思っていた僕は別に理恵の反応に驚きはしなかった。
883:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:27:21.76 ID:7rNmoFO0o
「麻季が玲菜への嫉妬心を奈緒にぶつけるようになったって言いたいの? そのせいで麻
季が子どもたちをネグレクトしたと」
「さあ? 麻季ちゃん本人に聞かなければ真相なんてわからないよ。でも奈緒ちゃんって
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