過去ログ - なずな「雪の日」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:23:06.44 ID:Z2MY10hv0
乃莉「すぐに入れるよ。今日はラベンダーの入浴剤」

 バスタオル姿で居間まで歩いてきた乃莉ちゃんは、わたしに声をかけた。微妙に刺激的な格好をした乃莉ちゃんを直視できず、

なずな「うん、今入るね」
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/01/16(水) 23:25:56.05 ID:2Foiu2fto
ちなあ…いや支援


4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:28:13.06 ID:Z2MY10hv0
 月に数回、わたしたちは互いの部屋でお泊まりをする。それは試験までの日数に比例して多くなったり、個別の課題が忙しくなるにつれて少なくなったりするのだけれど、だいたいは月三回くらい。

 そういうことを始めてから、もう半年以上も経っているので、わたしはすでに、乃莉ちゃんの部屋の些細な変化にも気づくようになっていた。

なずな「あ……乃莉ちゃん、シャンプー変えたんだ」
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:30:21.98 ID:Z2MY10hv0
 お風呂場は、ラベンダー特有の、どこか落ち着くような香りが漂っていた。湯船の中は、たしかに紫色だ。

 ラベンダーというと、わたしは『時をかける少女』を思い出す。アニメのバージョンも好きだけど、そっちではなくて、筒井康隆の原作の方だ。

 昔から引っ込み思案のわたしは、そういう空想小説みたいなものを、よく読んで過ごしていた。小説の世界に思いを馳せているあいだは、少しだけそっちの世界の住人に近づけるような気がしていたから。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:32:07.32 ID:Z2MY10hv0
 乃莉ちゃんはコンピューターをいじっているところだった。

 画面に向かってニコニコしてる。マイク付きのヘッドフォンを付けているから、地元の友達としゃべっているのかな。

なずな「お風呂、出たよ〜……」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:34:52.08 ID:Z2MY10hv0
 やがて電話を終えた乃莉ちゃんが、ヘッドフォンをおき、回転椅子を回してこちらを向く。むこうとしては『いつの間にか座っていた』のだろうわたしを目にとめて、

乃莉「なずな〜、出たんならそう言ってよ〜」

 言ったんだけどな。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:36:18.36 ID:Z2MY10hv0
 それからしばらく、二人で他愛のない会話を続けた。学年共通課題が難しいね、とか、明日の天気は晴れるといいね、とか。

 そういえば、大雪の影響で電車が止まっているらしい。徒歩通学のわたしたちは大丈夫だったけど、電車通学の生徒は大変な思いをしているのだろう。このまえクリスマスパーティーに来た夏目先輩はちゃんと帰れたのかな。わたしは他人事のように心配した。

乃莉「そろそろ寝よっか」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:38:16.36 ID:Z2MY10hv0

乃莉「今日はなずながそっちね」

 乃莉ちゃんは壁際に寄ったので、わたしは淵の方で寝ることになった。初めの頃は少し窮屈に思ったものだけれど、最近はそうも感じない。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:48:10.35 ID:Z2MY10hv0
 ときおり動く乃莉ちゃんの口元をみながら、わたしは眠れないでいた。考えごととか、そういう小難しいことをしていたわけではないし、わたしの寝相が悪いせいで乃莉ちゃんに迷惑をかけることを、心配していたわけでもない。

 ここ最近ずっと、こんな調子で寝不足。その原因は、胸のあたりでわだかまっている。

 わたしはぎゅっと握った右のこぶしを胸の真ん中に押しつける。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:55:41.50 ID:Z2MY10hv0
 唐突に意識が覚醒した。

 あまりにはっきり目覚めるものだから、もしかしたら朝かな、と思ったけれどどうやら違ったようで、薄目を開けた先は、まだ真っ暗だった。

乃莉「なずなぁ……」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/17(木) 00:03:56.95 ID:O0tRlrem0
 なずなは二階の廊下に立っていた。手すりに両肘をつけて、やまぶき高校の方を眺めている。わたしはなずなに近づく。

乃莉「なずな」

なずな「……? あ、乃莉ちゃん」
以下略



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