31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/22(金) 15:58:37.88 ID:L62z0KCK0
結衣は私を睨みつけている。いつもみたいにどこか落ち着いている瞳とは違う、そこには苛立ちと怒りが含まれているのが分かる。
その瞳に睨まれて動けない私と、結衣の横に立っているあかり。
私と結衣が睨み合っていることにオロオロしていて、やめてよって言っても結衣は聞かない。
だからもう何もできないから、様子を伺っているっていう感じだった。
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2013/02/22(金) 16:01:39.79 ID:L62z0KCK0
結衣『それはお前が素直じゃないからだ』
吐き捨てるように、結衣はそう言い切った。素直じゃないってなんだよ!
京子『なんだよそれ、私はいつだって素直だよ!』
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2013/02/22(金) 16:02:17.79 ID:L62z0KCK0
京子「……!!!」
あかり「うわっ、びっくりした!」
起き上がってすぐに聞こえたその声と、寝惚けた感覚に頭が少し痛くなっているのを感じる。
今さっき見ていた夢のせいなのかと首を動かしながら、窓から差し込んでくる暖かい夕日に、もう夕方だなと思いながら隣で驚いたように固まっているあかりを見た。
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2013/02/22(金) 16:02:58.10 ID:L62z0KCK0
図書室を出るように足を進める。今さっき見ていた夢の中のあかりと、まんま変わらないあかりが横にいる。なんだかそれが私の思っているあかりのイメージそのもので、なんだか気味悪くなった。
もうすでに勉強している人も、本を探す人も、図書委員もいない図書室から出ると、廊下はもっと寒々しくなっていた。なんだってこうも暖房を切るのが速いのか、そんなことを思いながらあかりを見ると方が少しだけ震えていて、声をかけるべきかと思ったけど、それよりも早くあかりが顔を上げる。
あかり「京子ちゃん、あかり図書室の鍵を職員室に返してこなくちゃいけないから、先に杉浦先輩のところに行ってあげて」
京子「あ、うん」
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2013/02/22(金) 16:03:31.70 ID:L62z0KCK0
―綾乃―
綾乃「ん〜、ううん、き、緊張する…」
今、私はこんな寒空の下であいつを待っている。別に恋人同士ってわけじゃないけど、待っているってこと自体で緊張はするものだ。
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2013/02/22(金) 16:04:10.24 ID:L62z0KCK0
やっぱり、歳納京子はとても不意打ちが得意だと思う。今さっきまでの間に寒さで落ち着いた思考が、一気に活性化して聞こえてきた声のほうを見るのに、なんだか時間をかけてしまう。
ギィギィ、そんな風に関節から音が聞こえてきそうなくらいに遅い動きで、私はくるみ割り人形か何かかと自身の滑稽な動きを恥じる。
京子「なんだ綾乃〜、くるみ割り人形でも始めたのか〜」
綾乃「そ、そんなわけないじゃない!」
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2013/02/22(金) 16:04:48.65 ID:L62z0KCK0
あかりさんの下駄箱の中に、ビニール袋に包んでコートを入れて校門を出る頃には、外はもう暗くなっていた。空には雲は掛かってなくて、キラキラ光るお星さまが暗闇を彩っていた。
京子「お〜、今日の夜空はなんだかすげぇな〜」
綾乃「ほんとね、本当にきれい」
京子「だよな〜、こういう光景見ながらの帰り道なら何回でも大歓迎なのにな〜」
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/22(金) 16:05:19.91 ID:L62z0KCK0
京子「ん、どうかしたの綾乃?」
歳納京子が振り返る。流れる金髪、いつもと同じ明るい笑顔。ああ、なんでこんなに幸福と痛みが一緒にやってくるだろう。でも言うことがある。
綾乃「あ、あのね。その、さ……」
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/22(金) 16:05:57.33 ID:L62z0KCK0
そう言ってはしゃぎ始める歳納京子を見ながら、よく言えた、がんばった、私。
なんて自分を褒めた。座り込んで立ち上がるのに時間はかかったけど、体の重みよりも幸福と充実感が体を包んでいた。
素直になれてよかったって思えるし、なによりこういう結果になって本当に良かった。
綾乃「じゃあ、私こっちだから」
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/22(金) 16:06:36.99 ID:L62z0KCK0
―あかり―
下駄箱の中を見るとビニール袋にきれいにたたまれたあかりのコートがあった。
もう真っ暗になって寒くなって、誰もいないと思う場所であかり、なにをしているのだろう?
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/22(金) 16:07:23.69 ID:L62z0KCK0
あかり「結衣ちゃん」
声をかけたところであかりがいるってことに気付いたみたいで、振り返ると同時にいつものように軽く言葉をくれた。
でも、やっぱりなんでこんな時間まで残っているんだろうって思った。
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