過去ログ - 京太郎「もつものと、もたざるもの」
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2013/02/25(月) 02:11:07.20 ID:STmIGYEco
 期待 
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:11:40.78 ID:8gIDJxBio
 「リーチ!」 
  
 清澄高校麻雀部部室に起家である優希の高い声が響いた。東1局3順目、捨牌には西、1萬、4索が切られているのみである。 
 内心ため息をつきながら下家の京太郎は自分の手配を見下ろした。 
  
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:12:59.69 ID:8gIDJxBio
 「そう落ち込むな! 高めだったら親倍だったんだじぇ! 安く済んだと考えな!」 
 「まぁ、京ちゃんこればっかりはしょうがないよ。その待ちならいずれ出ちゃうよ」 
 「そうですよ須賀君。麻雀ですからこういうことも起こりえます」 
  
 1年生の3人娘から口々にフォローの言葉が飛び交う。 
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:15:22.86 ID:8gIDJxBio
 激動のインターハイで非常に優秀な成績を残した清澄高校麻雀部はインターハイ後の残り少ない夏休みも関係各所への対応に追われた。 
 学校での祝賀会、マスコミへの応対、行政からの祝辞等、一般高校生ではなかなかお目にかかることのないイベントが連日のように行われろくに休みもないまま新学期に突入した。 
 9月となり竹井久からの引き継ぎを終えた染谷まこが新部長となり、新たな体制と清澄高校麻雀部は2学期初めての部活に励んでいた。 
 大会中は麻雀をほとんど打つことができなかった京太郎は部活開始と同時に喜び勇んで卓につき、前述の通り惨い有様となっている。 
 東1局1本場は和が優希から2,300点をアガって軽く流し、巡ってきた親番。何とかこれをものにしなければ、と念じながら配牌を手にした。 
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:17:36.04 ID:8gIDJxBio
 夏休み、大会中の空き時間中に携帯の麻雀アプリで麻雀を打っていた際に役無しドラ1の愚形聴牌を入れた際に両面への手替わりを見越して黙聴にしたところ、たまたま通りすがった和にひどく叱られたことがあった。 
  
 『京太郎手配』 
 123m23479s67799p ツモ5p ドラ1m 
  
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:19:50.45 ID:8gIDJxBio
 オカルトの風が吹き荒れるこのインターハイでいろいろと腹が据えかねるものがあったのか、滾々と和の口から湧き出る呪詛の言葉をあわてて押しとどめる。 
 思わずはっとなった和は軽く頬を染めながら軽く咳払いをする。 
  
 「……失礼しました」 
 「い、いや、別にいいけどさ。しかし……すまんな、和」 
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:23:53.43 ID:8gIDJxBio
 和はその答えに思わず頭を抱えたくなった。将来の夢の1つに小学校の先生になりたい、そう思っているのにそんなに怖い人間、質問をしにくい人間だと思われていたとは……。 
 もう少しやわらかい態度を心がけるべきだろうか、そう自省しつつ幾許か表情を和らげた。 
  
 「……須賀君の中で私はそんなに怖い女、キツイ女だったんですか?」 
 「あー、いやー、そんなことは」 
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:27:48.62 ID:8gIDJxBio
 「須賀君」 
 「な、何?」 
 「今は大会中だから無理ですが、大会が終わって、新学期になったら特訓です」 
 「うぇ?」 
  
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:28:40.60 ID:8gIDJxBio
  
  
  
  
  
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:30:22.99 ID:8gIDJxBio
 その一言でどれだけ救われたか、京太郎はそう思った。恐らく一番存在を軽んじられているであろうと思っていた和にそう言われて京太郎はひたすら麻雀の勉強に費やした。 
 大会中の雑用もこなしつつ、教本を読み、ネト麻を打ち続け自分なりに修練を続けた上でのこの1局であったが状況は前述した通りである。 
 だが、圧倒的不利な状況でも京太郎は何とかベストを尽くそうと足掻いていた。そして8順目。 
  
 『京太郎手配』 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/25(月) 02:30:51.96 ID:8gIDJxBio
 (俺は、強くなれるのか。本当に?) 
  
  
 勝利への疑心という感情に 
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