1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 00:54:12.78 ID:Twdko/5W0
オリジナルです
〜序章〜
―宿命とは過去の行いが現在のありようを決めてしまうもののことをいう―
21世紀を迎えて、幾年かの時が過ぎた、2003年3月
今日は合格発表の日
午前10時丁度に玄関前の設置された大きな掲示板に受験番号が張り出される
期待と不安を胸に抱いて、まだ雪がちらつく北海道の寒空の下、俺は道立龍鳳高校の校門の前に立っていた
多くの受験生が俺の横を通り抜けて行き、その中で俺だけがそこで止まり、苛立ちながら彼女を待っていた
俺「あいつ、遅いんだよ…もうすぐに10時になるだろうが」
俺がそう愚痴を溢している内に、後ろから俺の名前を呼ぶ声がした
女「翔ー!」
振り向くと懸命に走ってくる彼女がいた
俺「早く来いよ」
桜「ちょっと待ってよ!」
ようやく彼女は俺の下に着くと、息切れをしながら膝に手をついた
吐く息は白く、そしてすぐに大気中に消えて行く
俺「10時過ぎたぞ。桜」
桜「ごめんね。ちょっと寝過ごした」
俺「許さん」
桜「ごめんって」
俺「わかったから。もう受験番号貼りだされているから行くぞ」
桜「うん」
桜は俺の小学校からの同級生で、中学1年から付き合い始めた
合格圏内行くか行かないかの俺は、桜を追うために必死で桜の指導のもと、勉強に時間を費やし、
とうとう今日と言う人生の節目を迎えた
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 00:56:37.99 ID:Twdko/5W0
俺の不安そうな顔を見た桜は俺の手を握ってくれた
桜「大丈夫。翔は勉強頑張ったもん。絶対受かってる」
俺「おう。ありがとう」
桜「もーう。そんな自信なさそうな翔見たくない!」
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 00:57:27.78 ID:Twdko/5W0
ファミレスに着くと、席について、なんとなくメニューに目を通す
桜はデザートの所ばかりに目が行っていた
俺「最初からデザートかよ」
桜「だって、まだ11時だよ?ご飯の時間じゃないよ?」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 00:59:40.85 ID:Twdko/5W0
話している内に料理が運ばれてきて、料理を口にした
桜はドリアが食べ終わり、頼んだ苺パフェを食べ始めると幸せそうな顔になった
黒い長い髪が邪魔で、それを耳にかける仕草は俺をドキッとさせる
その姿をずっと眺めていると、桜は顔をこっちに向けて、俺を見た
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:03:02.67 ID:Twdko/5W0
【第一章】
〜出会いと告白〜
俺は一人っ子で厳格な道議の父親の下、過干渉で厳しい家庭で育った
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:03:53.56 ID:Twdko/5W0
それは中学1年の夏で一学期も終わりに迫った7月中旬
北海道も本格的な夏を迎え、日差しが強い日が続いていた
学校でも制服が夏服に変わり、皆が薄手の服装で登校するようになっていた
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:06:00.58 ID:Twdko/5W0
桜はすこし間をおいた後、俺の名を呼んだ
桜「翔」
俺「うん?どうした?」
桜「あの机に入ってた手紙読んで来てくれたんだよね?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:07:06.35 ID:Twdko/5W0
桜「でも、翔は気付かないだけで、女の子は翔の頼れるところとか評価してるよ」
俺「え?そうなの?なんか照れますね。それ」
桜「軽く流さないの!」
俺「ごめん」
桜「でね…あたしが今日翔に伝えたかったことは…」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:07:50.42 ID:Twdko/5W0
俺の人生の中での初めての告白は桜からされた
予想外であったが、素直に彼女でよかったと思えた
俺「あの…」
桜「待って!今すぐ答えが欲しいわけじゃないの…。すこし慎重に考えてから答えを聞かせて…。じゃああたし部活の時間過ぎているからもう行くね!バイバイ!」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:10:18.33 ID:Twdko/5W0
家に帰り、制服のままベッドに倒れこむ
何も考えないでいると桜ばかりを無意識に考えるようになっていた
もう俺は気付いていたんだ
答えはあの時既に出ていた事に
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:11:45.28 ID:Twdko/5W0
翌日
俺はいつもより早めに出た
教室になるべく早くに到着するためだ
到着すると、すでに生徒玄関は開けられていて、外靴から上靴に履き替える際に、自分のクラスメイトの出席番号が書かれた下駄箱を確認し、胸を撫で下ろした
まだ、クラスには誰も来ておらず、俺が一番だったからだ
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:12:53.88 ID:Twdko/5W0
そのままホームルームが終わっても手紙に気付くことはなく、時は過ぎていった
一時間目の数学が始まり、なんとなく黒板に書かれた問題を解き終わったので、周りを見渡すと桜が机の下で何かを手にしている姿が見えた
視力が良い俺は、その手元にあるのが自分の手紙だと確認できた
その瞬間、何故か期待と不安が一気に押し寄せてきた
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:14:18.16 ID:Twdko/5W0
授業が終わると、桜が俺の方にやってきた
それを見ている周りの目線がかなり痛い
桜「ねえ、翔」
俺「どうした?桜」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:15:25.31 ID:Twdko/5W0
次のチャイムがなり、俺は走って教室へと戻った
時間が過ぎるのは早いもので、あっという間に放課後を向かえた
俺は早めにF組に向かい、他の生徒の注目をさけようとしたが、それは無理な話だった
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:16:13.08 ID:Twdko/5W0
俺「答え言っていい?」
桜「うん…」
桜は今にも泣きそうな顔をして、手を下で祈るようにして握っていた
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:17:58.59 ID:Twdko/5W0
俺「てか、俺でいいの?」
桜「え、なんで?」
俺「だって、これと言って良いとこないと思うけど…」
桜「あるよ!頼れるとことか、優しいとことか。それに背高いからかっこいいなって思ってたんだよ。小学校の時も学校纏める会長やってたでしょ。あれを見ていて、憧れたのかな」
俺「お前、面と向かってそんな恥ずかしいことは言うなよ」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:19:45.01 ID:Twdko/5W0
〜二人を繋ぐもの〜
4月入学式
俺は朝、初めて高校の制服に袖を通し、鏡の前で髪を整えて、家を出た
その際に、久しぶりに父親から声をかけられた
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:21:04.36 ID:Twdko/5W0
桜「あ、あたしの名前あった」
桜はE組に名前が書かれていて、俺の名前はなかった
桜「あーあー、翔とクラス違うのか…。寂しいな」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:22:31.13 ID:Twdko/5W0
「はじめまして、裕也って言います。俺遠くから来てるんで、知り合いいないんですよ。名前聞いてもいいですか?」
いきなり話しかけられ、すこし戸惑うものの、すぐに笑顔になる
俺「翔です。結構近くから登校してきてるので、裕也君の地域とは遠いんだな」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:23:59.07 ID:Twdko/5W0
教室に戻り、担任の挨拶、そして土日を挟んで次の月曜日から二泊三日の研修旅行の説明が行われた
龍鳳高校ではこの研修は恒例で、どういう学校でどういう部活があるのか、
そして、どのような授業が行われるかなどといったオリエンテーションを主として行われるものだ
その日すべてが終わり、教室から出るが、母親はもういない
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/04/27(土) 01:25:46.60 ID:Twdko/5W0
月曜日
俺達新入生一同は研修へと向かった
泊まるのは他の高校もよく利用する閉校となった研修専用の宿泊施設
主にオリエンテーションは体育館で行われ、その後は遊ぶだけで、夜に軽く授業があるだけだった
部屋は出席番号で区切られていて、同じ部屋になった人と親睦を深める
38Res/35.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。