24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:01:18.56 ID:6wN2+WcTo
  
  廊下に出るとひどく薄暗い。夜は知らぬ間に深まっている。 
  もともとこの屋敷では、時間の流れというものがひどく曖昧だ。 
  
  時計が、極端に少ない。些末なことと言えば些末なことだ。 
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:02:49.22 ID:6wN2+WcTo
  
  部屋の中は暗かった。雨のせいで月当たりも差し込まない。 
  それでも暗い灯りが天井の電灯から注いでいたから、真っ暗ではない。 
  そのおかげでわたしは、部屋の様子をおおまかに確認することができた。 
   
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:03:43.04 ID:6wN2+WcTo
  
  じっと眺めていると、シラユキの睫毛がぴくりと震える。わたしはどきりとした。 
  
  彼女は何度か息を深く吸い込み、吐き出した。 
  彼女の呼吸に合わせて、布団がゆっくりと上下する。 
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:04:43.93 ID:6wN2+WcTo
  
  しばらく何も言わずにいた。ベッドはシングルだったから、二人で眠るには少し狭い。 
  でも、無理ではない。わたしたちはとても小柄だったから。 
  
 「……夢」 
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:05:11.74 ID:6wN2+WcTo
  
 「シラユキ、わたしは」 
  
  途中まで言葉にしてから、わたしは急に不安になる。  
  彼女は不審そうに眉を寄せた。 
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:05:39.37 ID:6wN2+WcTo
  
 「ごめんなさい」 
   
  耐えきれなくなって、わたしは謝った。 
  シラユキはほっとしたような、困ったような顔になった。 
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/19(日) 10:06:32.45 ID:6wN2+WcTo
  
 ◇ 
  
  いつの間にか眠りに落ちたわたしは、夢を見た。 
  彼の声は聞こえない。いつもの夢ではなかった。 
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/19(日) 10:07:12.80 ID:6wN2+WcTo
 つづく 
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/19(日) 11:23:15.84 ID:b05PfY/AO
 乙。雰囲気いいね 
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/19(日) 17:11:07.80 ID:B8pil6sAO
 続けてください 
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:19:36.63 ID:kVieGjdco
  
 ◇ 
  
  目が覚めたとき、シラユキの姿は既になかった。 
  起き抜けの気怠い気分のまま、窓の外から変わらず聞こえる雨の音に、しばらく耳を傾ける。 
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