37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:21:43.84 ID:kVieGjdco
◇
朝食をとったあと、自室に戻って本を読もうとしたが、気分が乗らなかった。
毎日、同じことの繰り返し。何も変わったことは起こらない。
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:22:31.45 ID:kVieGjdco
わたしは泣き出したい気持ちになる。どうして、雷が鳴ったりするんだろう。
いままでは、そんなことは一度もなかったのに。
おそろしくなって、わたしは部屋を出た。シラユキはまだ朝食の片付けをしているはずだ。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:23:30.22 ID:kVieGjdco
わたしは階段の半ばに座り込んで、その声が止むのを待った。
まるで影がささやきあっているような声だった。上手に聞き取れない。聞き取りたくもなかった。
雷がまた響く。わたしは瞼を閉じてぎゅっと耐える。いったい何が起こってるんだろう?
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:24:15.40 ID:kVieGjdco
「……誰かいるの?」
声は、自分でも分かるほど震えていた。辺りを見回してみても誰もいない。階段の上にも、踊り場にも。
じゃあ、どうして、声が聞こえたりする?
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:24:42.11 ID:kVieGjdco
声を掛けると、彼女の身体はびくりと震えた。
「どうしたの?」
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:25:12.82 ID:kVieGjdco
「それだけです。驚きましたか?」
「……うん」
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:25:50.16 ID:kVieGjdco
「どうしたんですか、今日は」
シラユキは、いつもより近くにいたがるわたしに、照れくさそうに笑った。
茶化すように言われても、わたしは離れる気になれない。
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:26:27.62 ID:kVieGjdco
それでもなんとなく不安がぬぐえずに、仕事に向かおうとするシラユキを引きとめて、食堂で少しの間休んだ。
彼女はわたしが少しでも目を離すと、すぐに思案深げな表情をした。
シラユキが作ってくれたホットミルクを飲みながら、わたしは彼女の表情をじっと見つめる。
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:26:53.82 ID:kVieGjdco
「あの、お願いがあるんです」
「……お願い?」
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:27:46.76 ID:kVieGjdco
わたしは判断に困った。それじゃあまるで、わたしがここにいることを、誰も知らないみたいだ。
……いや、そうなのかもしれない。わたしは誰とも、会ったことがないのだから。
でも、だとすると、シラユキは街のひとびとに、わたしの存在を隠していることになるんだろうか。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 06:30:12.33 ID:kVieGjdco
訂正
38-6
階段を途中まで降りると、玄関ホールを通ることになる。
→階段を降り切ると、玄関ホールに出る。
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。