576:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:27:58.08 ID:seth9kfao
わたしは少しの間、その輪郭のぼやけた景色をじっと見つめた。
その先に何があるのかは、よくわからない。
それで、わたしはここを通るべきなのだろうか?
577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:29:42.17 ID:seth9kfao
わたしは現実に向かうべきなのかもしれない、と、そう考えてみることにした。
それから自分が嫌だと思ったこと、自分が逃げ出したもののことを思い出してみる。
すると、どれもこれもたいしたことではないような気がしてきた。
578:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:30:40.90 ID:seth9kfao
「アヤメ」
不意に、ツキはわたしを呼んだ。
それから困ったように笑う。
579:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:31:16.66 ID:seth9kfao
「雨が降っている間、ツキはわたしと一緒にいてくれた。
わたしはツキの家で過ごすことができた。シラユキの背中を撫でていることができた。
その時間が好きだった。一緒にいてくれて、嬉しかった」
580:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:31:58.48 ID:seth9kfao
「アヤメ」
彼はもういちど、わたしの名前を呼んだ。それきり、しばらく黙り込んでしまった。
何度も苦しそうな顔をした。後悔しているようにも見えたし、何かを言いあぐねているようにも見えた。
581:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:33:26.07 ID:seth9kfao
「たぶん俺も、もっとお前にいろんなことを言うべきだったし、いろんな態度を示すべきだったんだろうと思う。
でもそれは手遅れじゃないって思うんだよ。お前がもう一度、俺のところに来てくれさえすれば……」
それから彼は思い直すように頭を振った。わたしは悲しい気持ちになった。
582:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:35:11.63 ID:seth9kfao
◇
そのようにして、ツキは向こう側へと去っていった。
後にはシラユキとわたしが残された。
583:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:35:43.52 ID:seth9kfao
つづく
584:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/23(日) 10:10:19.43 ID:5eHk7y3io
さてどうする
585:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:52:02.76 ID:k0zfLIWso
◇
シラユキは何も言わなかった。
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