614:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:26:27.84 ID:tPA7g4lio
ツキに助けられたあと、わたしは再び意識を失った。
彼はわたしを背負って近隣の民家に向かい、電話を借りて救急車を呼んだ。
時刻は夜の九時を過ぎていたらしいので、民家の住人からすれば迷惑な話だっただろう。
615:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:28:18.15 ID:tPA7g4lio
◇
当たり前のことだけど、わたしはいろんな人に叱られた。
ツキもいろんな人に叱られていた。ちょっと悪いことをしたかな、と思う。
616:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:29:05.16 ID:tPA7g4lio
わたしを叱ったのは主にツキの両親で、叱らなかったのはわたしの両親だけだった。
ツキの両親は、わたしとツキの行為に対して大声を上げて怒った。
617:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:30:33.34 ID:tPA7g4lio
彼らはそれから、わたしに頭を下げた。
でも、わたしは別に謝ってほしいわけじゃなかった。
だから、すごく困った。
618:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:31:21.49 ID:tPA7g4lio
◇
目が覚めてから数日間、様子を見るためにと入院させられていた。
ことがことだったので、担当の医師はわたしに「よければカウンセラーを紹介しますが」と言ってきた。
619:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:32:32.33 ID:tPA7g4lio
◇
数日後、さしたる感慨もなく退院し、わたしは家に帰った。
家に帰るのは久しぶりだという気がした。
620:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:33:29.20 ID:tPA7g4lio
翌朝、案の定、雨が降っていたけれど、わたしはツキの家まで傘を差して歩いていった。
彼がわたしを当然のような顔で出迎えたので、わたしはちょっとおもしろくない気分になった。
しばらくのあいだ、何をするわけでもなく、二人で話をした。
621:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:34:00.02 ID:tPA7g4lio
◇
気象予報士の言い分に反して、雨は十時過ぎに上がった。
622:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:35:37.88 ID:tPA7g4lio
「さて、それじゃあ行きますか」
ツキはそう言って歩き始めた。
わたしは何も言わずに、彼を追いかけて隣に並ぶ。
623:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:36:30.71 ID:tPA7g4lio
おしまい
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