過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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83: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:25:10.45 ID:UMPAG6Zoo
>>81
内容的にちょっと『淫魔』を入れられなかった、すまない

投下開始します


84: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:26:19.39 ID:UMPAG6Zoo
*

パーティを解散する日が、やってきた。
時は、決戦から二週間。
『魔王のいない世界』が、当たり前になり始めた――――そんな、時の事だ。
以下略



85: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:27:04.28 ID:UMPAG6Zoo
広場から馬車に乗る時、彼女はもう一度だけ、深くお辞儀をした。
その顔は満ち足りていて、別れの哀しみさえも見せない。
もう、彼女は吹っ切ったのだろう。
勇者と魔王がいなくなり、この平穏が続くのだと、信じた。
彼女の職業は、『僧侶』。
以下略



86: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:30:40.04 ID:UMPAG6Zoo
魔法使いと戦士が先導し、王女を演壇へと導く。
気付いた民衆が道を開け、巡回の衛兵は、泡を食ったように絶句していた。

やがて、彼女が演壇を登り、広場に集まった民衆に向き合う。
その両脇を固めるように、二人は杖と剣に手を添えて侍る。。
以下略



87: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:32:44.05 ID:UMPAG6Zoo
王女「私とて、莫迦ではありません。我が国と隣国の確執は存じ上げます」

この王国と隣国の敵対は、かれこれ三百年ほど遡る。
ある史家は王位継承問題に発端があると言い、別の史家は領土問題だと言う。
はたまた貿易摩擦や、もっと小さな積み重なった問題だとも言うし、もしかすると――――全て、かもしれない。
以下略



88: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:33:36.10 ID:UMPAG6Zoo
王女「……私達は、『種』を植えましょう」

王女は、顔をわずかに俯けて、消え入りそうな声で呟いた。
その声は、恐らく民衆の最前列と、傍らの二人にしか聞こえていない。
しばらくドレスの裾を握ってから――彼女は、続けた。
以下略



89: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:34:37.01 ID:UMPAG6Zoo
――――――それから一ヶ月が経つ頃、王国と、隣国の間で会談の席が持たれた。
場所は、どちらでもない中立第三国。
王女の……娘の根強い説得を受け、国王自ら赴いた。

城下の広場で行われたあの演説は、衛兵や国民の間を瞬く間に駆け抜けた。
以下略



90: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:36:46.14 ID:UMPAG6Zoo
*

決戦から四年が経つ春の日、魔法使いは、王国の修道院を訪れた。
真っ白な建物で、よく晴れた日の雲のように大きくて、足を踏み入れず、ただ眺めるだけでも
心が引き締まり、指を組みたくなるような――――そんな、修道院だ。
以下略



91: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:37:27.16 ID:UMPAG6Zoo
静謐な礼拝堂の空気の中、数年ぶりに再会した二人は、変わらずに談笑する。
それでも歩む道は絶対的に違い、共通の目的などもうない。
『旧友』ではあっても、もう……『仲間』ではない。

僧侶「……それで、魔法使いさん。本日はどういったご用件でしょうか」
以下略



92: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:38:32.26 ID:UMPAG6Zoo
頭の上に、もうあのとんがり帽子は乗っていない。
するっと伸びる栗毛が、何阻まれることなく肩辺りまで流れている。
たった一つ特徴をなくしただけではなく、表情も、身のこなしも、負けん気の強かったあの頃とは違い、
落ち着きさえも兼ね備えた、爽やかな色気まで醸し出していた。

以下略



93: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:39:17.59 ID:UMPAG6Zoo
僧侶「いえ、まさか。……私は、これでいいんです」

魔法使い「よね」

僧侶「はい。私は……満足しているんです。迷える人々の懺悔を聴き、導き、その前途を祝福し、祈る。
以下略



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